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女の魔人族・・・~ルイス視点~


ロード「敵の主要人物が現れたしたよ」



ベルグス「任せろ!俺がコテンパンにしてやる!」




ロード「王子はまだ眠ったままじゃないですか。無理ですよ」







ルイス視点





ルイス達は大広間を東に抜けて1番近い抜け道へと急いだ。

美しい調度品が並び華やかで優雅だった城の廊下は敵からの攻撃により見る影もなく荒らされているそして、遠くから時々、爆発音が起こり争う様な声も聞こえてくる。

廊下には、所々に血飛沫と倒れた騎士や貴族達がいて、ユグルドやバルトール達は目を背け、イリスや第一妃は涙を流している。

そのなかを、ルイスや守護騎士が周りの安全を確認しながら進む。





「(どうしてこんなことになった?一体誰がこんなことを・・・。他国には沢山の密偵を送って情報を集めている、こんなことをしようとする国があるなら既に何かしらの情報があってもおかしくない。なのに何故何の情報もないのだ!?一体何が起こっているんだ‼)」




そんな混乱のなかでもユグルドは必死に頭を巡らせるが全く情報がないなかで何が起こっているのかを把握することは出来ず苦々しく思っていた。

ルイスは無表情を装いながらも内心荒れているであろう親友を心配しながらも辺りに気を配る。




「(あいつは多分かなり荒れているんだろうな。一人で抱え込むのは悪い癖だと言ったんですがね)」




ルイスはチラリと後ろのユグルドを確認したあと、今の状況をもう一度確認することにした。




「(いきなり城が襲われてからこの短時間でこんなことを出来ると言うことは、多くの人数がいるはずだね。だが、誰も奇襲に気づかないと言うのはおかしい。他国に密偵を出しているしこの国の騎士は優秀な者が多い、なのに誰も気づかないなんて・・・・。いや待てよ、もしかしたらこの国を襲ったのは・・・・)」




ルイスの脳内には最悪の事態が想像され気付けは足は止まっていた。

その事を不審に思ったユグルドが声をかけたがルイスは答えない。ユグルドがもう一度声をかけようと口を開くより早くルイスが振り返った。





「もしかしたら、もしかしたらなのですが・・・。この国を襲ったのは・・・」




ルイスが言おうとした内容にユグルド達は驚きつつ次の言葉を待ったがそれを遮るように、ルイスの後ろで物音がした。

反射的に振り返ったルイスは刀を抜き構え、後ろの守護騎士もそれぞれの主の前に立ち剣に手をかけた。

雲の隙間から漏れた月明かりに照らされて見えたのは、ボロボロになり片目を失った騎士団副隊長のルブルフ・レア・ローツと片腕を失い血を流しながらもルブルフを守ろうと刀を構えているバッカス・レトノーバだった。



「ルブルフ!それにバッカスもどうしたんだ!?そんなにボロボロになるなんて!」




ルイスが、驚き急いで二人に駆け寄る。

ルブルフとバッカスは目の前にいるのがルイスや国王達だと分かると肩から力を抜いた。






いつもは、団服をきっちりと着こなし前髪をオールバックにしているルブルフは服が乱れ、髪もぐじゃぐじゃになっていてかけていた眼鏡も何処かへ消えいる。

バッカスも服がボロボロになって左手の肘から先がなく傷口にはベルトを巻き止血をしている。

更にバッカスが父から受け継いだと大切にしていた刀の不知火は半分に折れており左腕で抱え込むように抱いている。



「だ、団長!まだこんなところにいらしたんですか!?早く逃げてください!」



「そうですぜ、団長!あいつは俺らが何とかするんで早く行ってくだせぇ‼」



二人はすぐに、焦ったように声を上げた。

ボロボロの体で立ち上がり刀と剣を握りしめ薄暗い廊下の方へ向き直った。

そんな二人の様子に、ザイルはもしやと思い声をかけた。



「お前達は、敵が誰だかわかったのか?」



「えぇ、さっきまで殺りあってましたからね。相手は女の魔人族です。」




「魔人族だと!まさかそんな!」




ザイルの言葉に冷静に返したルブルフにユグルドは驚愕の声を上げた。

バルトール達は驚きで声も出ないのか唖然としたままルブルフ達が見ている廊下の方に視線を向けた。

薄暗い廊下の方から誰かの足音が聞こえてくる。

ゆっくりとだか確実にこちらに近づく足音に緊張から息を飲むユグルド達。



「もう、鬼ごっこはおしまいですの?副団長のルブルフ様に六番隊長バッカス様ってあら?何故こんなところに王族の方々に龍人族のルイス様がいらっしゃるのですか?」



その人物は、ルブルフとバッカスを見た後少し驚いたようにユグルド達に目をやった。



「王族の方々の始末はリジェロの仕事だったはずですわ。それに、ルイス様の相手はダルク様が自ら行うとおっしゃって要らしたのに」



頬に手を当て困ったように呟くように女の魔人にルイスは警戒を強めた。

その様子に、ため息をつきながら鞭を強く握る。



「どいつも、こいつも、役に立たないグズばかりと言うことですわね。まぁ、良いわここで妾が皆殺しにすればいいだけですものね」



「早く、ユグルド様達を連れて逃げてくださいルイス団長!」




「・・いや、ここは私が引き受けよう。ルブルフとバッカスは私のかわりにユグルド様達を連れて逃げてくれ」




ルイスは女の魔人から視線を外さずにルブルフ達に言った。




「そんな!」



「ボロボロのお前たちでは相手にならんだろう。ここで私が相手をした方がまだ勝機がある」



「た、確かにそうですがでも!」




必死にルイスに食い下がる二人にユグルドが制止をかけた。

二人はまだ何かを言いたそうにしながらも黙って口をつぐんだ。

そんな二人を尻目にユグルドは真剣な眼差しでルイスに言った。




「我が騎士、ルイス・フォン・マグラシアよ。必ず勝って後を追いかけて来るだ、よいな!」




「はっ!必ずや我が主に勝利を捧げます。ルブルフ、バッカス、ユグルド様達を頼んだぞ」




「「はっ!」」




その答えを聞くとユグルドはバルトール達に向き直った。

バルトール達は頷き直ぐ様騎士達と抜け道の方へと走っていった。

ユグルドはもう一度ルイスの背中を見つめルブルフ達に連れられバルトール達の後を追った。




「まさか、逃げるまで待ってくださるとは思いませんでしたよ」




「ここで、妾が逃がしても結果は同じだと思いましたの。さっきはつい、乱暴な物言いをしてしまい申し訳ありませんわ。妾は魔王様より命を受けこの国を滅ぼしに来た四天王の一人、妖花のリリシアンと申します」




リリシアンと名乗った女の魔人族は着ていたイブニングドレスの両端を摘まみ丁寧に頭を下げた。

その様子は一部の隙もなく実力者であることが見てとれるものであった。

だか、ルイスの気を惹いたのはリリシアンの発言だった。





「魔王、だと?そんな存在、聞いたこともないが・・・」




「ええ、仕方ありませんわ。魔王様はつい最近なったかたですから。まぁ、あなた方が魔王様の事を知らなくとも問題はありませんし」





「・・・・(魔王が存在した、いや魔王が誕生したということか。これではまるで、あの伝説の通りではないか・・)」





「さぁ、早く始めましょう?妾はあなたを殺して他の方も追わなければなりませんので・・!あら、そうディバルが失敗しましたの?分かりましたわ直ぐにそちらに向かいます」





考え事を始めたルイスにリリシアンが攻撃を仕掛けようとしたが、突然動きを止めまるで誰かと話をしているようにボソボソと呟き始め、ルイスに背を向け歩きだした。




「!?何処へ行く!」




「申し訳ありませんが他の用事ができてしまいましたの、これでは失礼しますわ。あぁ、そうですわあなたの大切な娘さんのところにも四天王が向かったそうですわよ?」




リリシアンが怪しく笑いながらそういうと何処からともなく霧が現れリリシアンを包んだが直ぐに消えてゆく、しかし、その場所にリリシアンはいなかった。




「逃げられたか(ロードの所に、狙いはベルグス王子か。王子がいるのは反対側の方だったな・・)」




ルイスは直ぐに機微を返しロード達の元へ向かった。




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