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王子とご対面かと思いきや・・・


ロード「王子が登場ですね」



ベルグス「俺の活躍をみてろよ!」




ロード「(寝てるだけなんだけどな)」








ロードは騎士に連れられ賑やかな大広間を離れ薄暗く静かな城の廊下を進んでいく。

ふと、外を見上げたロードの目に青い月が浮かんでいるのが見えた。





『・・・ボソッ、そう言えば、今日から青月(ブルームーン)の月か』




この世界には13の月がありそれぞれの月を女神や神が生まれた月としてその月のを司る神に祈りを捧げるのである。

青月(ブルームーン)は神々の王、アルゲンドゥムの息子で希望と雷を司る神カエルラの守護する月である。

そして、ロードの守護神もライノラであったため帰ったらお祈りを捧げなければと思っていた。




前を歩く騎士を気にしながら、ロードは空に浮かぶ月を見て月日が変わったのとお祈りのことを思い出していたら前を歩いていた騎士が足を止め振り返り声をかけてきた。




「あ、あの私はロス・ライズと言います!今日の任命式素晴らしかったです、ロード様」



顔を赤らめて、改まったように話す騎士、ロスに苦笑しながらロードは言った。




『有難うございます。そう言っていただけると、嬉しいですね』




「いえ、あの大勢の中を堂々として要らして、すごかったです!流石は、王子の守護騎士に選ばれた方だと尊敬しました!」




ロードの言葉に興奮冷めやらぬ様子で話し始めるロスに少し引きながら、早く王子の元へ行こうと伝えようとした次の瞬間






『なっ!!!!!』




「う、うわあああぁぁぁぁぁ!!」




激しい爆音と共に城が大きく揺れた。ロードは床に倒れ込みそうになりながらもなんとか体制を立て直したが目の前にいたロスは見事に転倒してお尻を打っていた。

ロードは辺りを警戒して片手を刀に添えながら、もう片手を目の前で尻餅をついているロスに差し出した。




『大丈夫ですか?』



「は、はい。なんとか」




ロードは片手でロスを引っ張り起こすと、少し考えてから先程の出てきた広間の方を向いた。

ロスの方はポカンとしたまま慌ただしく左右を見ている。




『(さっきのは一体?まさか、この城に攻撃を仕掛けてきたのか?いや、しかしチェロル王国とは最近小競り合いは起きていないし。ドリス帝国とは休戦の協定を結んだはず。あっちには、お父様達がいるから大丈夫だ、僕たちは第三王子のベルグス様の所へ向かうべきだな。)』




考えが纏まったロードは未だに、何がおこっているのか分からずいまだに混乱しているの様子のロスに声をかけた。




『向こうには、ルイス騎士団長や王国騎士団の方がいらっしゃるので大丈夫です。それより、ベルグス様が心配です。僕達は、ベルグス様の所へ向かいましょう』




「わ、わかりました。こちらです」




ロードの言葉にはっとしたように我に帰ったロスについて廊下を走って行く。

すると、部屋の前に一人の騎士が倒れていた。服を見るに此処へ案内をしてくれたロスと同じく所属のようだった。

顔を真っ青に染めてロスが倒れている男に駆け寄りながら名前を叫ぶ。




「ブレン!?」




『これは、部屋へ突入します!僕に続いて下さい!』





部屋の前に倒れている騎士、ブレンから流れる血を見てロードは顔を険しくさせブレンの側にしゃがみこみ唖然としているロスに声をかけるや否や部屋の扉を蹴り開けた。

中にはベットに眠るベルグス王子とその王子に剣を突き立てようとしている人影があった。




「王子!!貴様!ベルグス様には手出しさせん!」




『おい!待って!』




「ブレンの仇!」




ブレンを殺され、頭に血の登ったロスはロードの制止を振り切り剣を構えてフードを被った男へと飛びかかった。

しかし、その剣は簡単に振り払われ切りつけられてしまう。

切りつけたロスを一見して男はロードに目を向けた。





「なんだこいつ、こんな弱ぇのにこのディバル様に挑むなんざバカだな。たく、このチビを殺すだけの簡単な仕事だって言うのに邪魔しやがって」





面倒くさそうに呟いた男は被っていたフードを下ろした。





『あんたは、まさか・・・魔人族‼どうしてこんなところに!』





そう、フードを下ろした男は茶髪に緑の瞳で肌は黒く赤い紋様が浮かんでいた。

ロードは驚いて魔人族の男に問いかける。





「何故って決まってんだろ?この国を潰しに来たのさ」





驚くロードに嘲笑いを浮かべた男が大袈裟な芝居がかった仕草で言った。





『じゃあ、さっきの爆発は!?』




「ああ、そうさ!俺達魔人族の仕業だよ‼」





ディバルの言葉で何がおこっているのかを理解したロードは直ぐ様、刀を握り直した。





『(魔人族が攻めてくるなんて!なんとしてもベルグス様を助け出してお父様に合流しなければ。だか、僕一人でこいつを倒せるのか?)』





ロードは男の後ろに寝ているベルグスに目を向けた。

ベルグスは先程の騒動でも熟睡しているのか起きる様子がない。

しかし、その方がロードにとってもありがたかったのでおいておくことにした。





『あなたを倒して、魔人族の企みを潰させていただきます』




「はっ!やれるもんならやってみろよ‼」




刀を向けたロードに挑発的に笑いながら同じようにディバルも剣を構えた。










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