王族集合
ロード「ようやく、王族と面会」
ベルグス「兄と姉だな」
「私はベルナンド伯爵の息子で・・・・」
「リシュヒェル王国の外交官を勤めておりますビラインド子爵の・・・」
「先程の任命式素晴らしいものでした!よろしければお話を・・・・・」
『えぇっと、その・・・』
任命式を無事に終えたロードは今、別の意味で緊張していた。
ロードの周りには、他国やこの国の貴族がやって来ては婚約の申し込みをしていく、確かにロードは国王の覚えもめでたく候爵家の跡取りでもあり、更にここ数年姿をほとんど見ない龍人族の美少女である。
そして、今日新たに第三王子の守護騎士という肩書きを手に入れた。
しかも、今のところ婚約者が存在しない為今からでも取り入ろうとする貴族が後をたたない。
ロードの浮かべていた笑みがひきつり始めた頃ようやく同じように他国やこの国の貴族達に囲まれていたルイスが助けに来た。
「申し訳ないが婚約の話は今度にしてもらいましょう。今ロードは任命式を終えたばかりで疲れていますしこの後は、他の王子達や守護騎士と挨拶がありますので」
そう言ってルイスは、貴族に囲まれ身動きがとれなくなっていたロードを助け出した。
ロードは肩の力を抜きほっと一息つくと自分を助けてくれた父に声をかけた。
『ありがとうございますお父様。助かりました』
ルイスはロードをエスコートしながら困ったように笑った。
「彼らの勢いは恐いからね。次からは余り一人でいないことだいいね?」
『はい、お父様や友人達といることにします』
「あぁ、そうしなさい。さて、ロード次は王子の達と守護騎士に挨拶をしないとね」
『う・・・は、はい』
ルイスの言葉にロードはガチリと固くなった。
その様子を見て苦笑したルイスが声を掛けようとするより早く近づいてきた人影が声をかけた。
「緊張しているようだな、ロード嬢」
『!!!国王様!』
「よい、そのままで話そうではないか」
慌てて胸に手を当て騎士の礼をしようとしたロードを国王、ユグルドが止めた。
ロードはその言葉に恐る恐る姿勢を正し前を向いた。
「実はな、息子達が話をしたいと言っていてな」
ユグルドの後ろには、おっとりとした雰囲気の金髪の青年と鋭い目付きの大人しい猫耳の少年それから緊張しているのかソワソワしている猫耳の少女がいた。
おっとりとした青年は第一王子のバルトール・ドゥ・フェルノート。
人族の青年で母親は第一夫人のメルチェ・リア・フェルノート、人族の中では魔術に優れていて頭脳戦が得意で人好きする優しい性格の青年である。
鋭い目付きの少年は第二王子のザイル・ドゥ・フェルノート。
獣人族の猫人であり母親は第二夫人のニーナ・リア・フェルノート、獣人族の血が強く腕力が人より強く剣術や槍術といった接近戦を得意とする武術家で真面目で口数が少なく勘違いされやすい少年。
ソワソワしていた少女は第二王子の双子の妹である第一王女のイリス・リア・フェルノート。
兄と同じく獣人族の猫人で素早さは兄より上であり、弓術などの遠距離戦が得意だが、やはり武術よりもお洒落などを好む人見知りの少女。
「お久しぶりです。ロード嬢」
『ご無沙汰しております。バルトール様』
ロードはバルトールとは、パーティで何回か顔を会わせたことがあるが残りの二人とは初対面である。
ロードは、地味に緊張しながら二人に向かってバルトールにしたのと同じように優雅に一礼し挨拶をした。
『お初に御目にかかります。ロード・フォン・マグラシアと申します』
「・・・礼はいらん、ザイル・ドゥ・フェルノートだ」
「え、そ、その。・・イリス・・です」
ザイルはそっけなく返し、イリスはあたふたとしながらロードと同じく一礼をした。
その様子を、兄であるバルトールが苦笑した。
「すまない、二人ともルイス騎士団長の娘だから緊張しているんだ」
『い、いえそんな』
その様子に恐縮したように返すロード。そしてそのなかに第三王子の姿が見えないことに気づきキョロキョロとしていると声をかけられた。
「ベルグス様なら別室にておやすみなされているロード嬢」
『え?』
振り返った先には、第一王子と第二王子の守護騎士が立っていた。第一王女の守護騎士は王女に抱きつかれて頭を慰めるように撫でている。
「うう、ルタ。上手くお話できませんでしたわ・・・。折角の友達を作るチャンスが・・・!」
「お嬢様は人見知りですからね。大丈夫ですよロード嬢は、優しい方ですからもう一度勇気を出してお話をしましょう」
イリスがルタに慰められているのを横目にバルトールが、初対面である自分達の守護騎士の紹介をする。
「紹介するよ。彼は僕の守護騎士をしている獣人族で狼人のマチス・レイ・タッカートでそのとなりがザイルの守護騎士で鬼人族のノワール・シア・ペルベトンでイリスに抱きつかれているのが彼女の守護騎士でエルフ族のルタ・ターカーだよ」
『第三王子の守護騎士に任命されました。ロード・フォン・マグラシアです。これからよろしくお願いいたします』
マチスと呼ばれた青年はスラリとした長身の美青年でノワールはニッコリと笑っている少年でルタは無表情ではあるが優しい雰囲気のある少女である。
「あぁ、よろしく」
「仲良くしてくれよな!」
「よろしくお願いします」
「仲良くできそうだな。そうだ、別室で休んでいるベルグスにも会ってやってくれるか?扉の前にいる騎士が部屋を知っているから案内してもらってくれ」
ロードが他の守護騎士達と上手くやれそうだと一安心した時、息子達の様子を微笑ましく見ていた国王から言われロードはその言葉にはいと答えて父に声をかけてから扉の前にいた騎士について部屋を出ていった。