10.白と白
お題
・すれ違った犬
・白い傘
・古い記憶
ChatGPTより
スマホの高温注意の警報が胸のポケットから伝い頭に響く。
ニュースアプリの熱中症警戒アラートは連日通知を鳴らす。
こんな日に外を出歩いている奴は正気じゃないなと、万年外仕事の自分を棚に上げながら今日も仕事現場へ赴く。
「おーい、一服だぞー」
親方からの声を聴き、自分の手元の仕事を一旦おいて顔を上げた。
道路を挟んだ向こうの歩道。
白い大型犬を散歩させる、白い日傘にワンピース姿の女の人。
馬のような見た目のあれは確かボルゾイで、女の人のワンピースは沁み一つない純白。
じりじりと焼く陽光を周辺の空気ごと反射しているようだ。
優雅に歩く一人と一匹を見ると、土埃と汗でどろどろな自分を皮肉られているように感じた。
でもなぜか目が離せない。
はためくスカートの裾に、揺れる毛足の長いしっぽ。
ずきり。
こめかみのあたりが痛む。
既視感がある。
この光景はなんだ…。
目の前に火花が散るような感覚とブラウン管テレビが深夜に見せる砂嵐のような視界の合間に、木造の住宅街とあの犬を散歩させる残像。
ふらつき屈みこむ自分に、慌てたように声をかける同僚の声が、遠ざかり届かなかった。
詩的になりました。
これくらいのボリューム引き続き書いていきたいです。