いつも先手をとられるので、ベランダで先手をとってみた
ーー友達になろっ?
差し伸べられた手を、今でも覚えている。
それが始まり。
ーー腐れ縁でも、良くない?
近すぎて曖昧な関係を、1歩踏み出させてくれたのは、やっぱり彼女で。
いつも手を引かれて歩いていくのは、全然構わないんだけど。
かといって、自分の気持ちを告げる事はしたことないなと言うことでーーーー。
ーー結婚しようよ。
とアパートのベランダで言ったら。
ーーーー。
ぽかんと口を開けて、無言になってしまった彼女がいた。
その日は夏祭りという事もあり、外は祭りの喧騒と、花火の音で騒がしい。
ああ、きちんと聞こえなかったのか、と。
1歩踏み出し、彼女の手を握る。
彼女が肩を震わせた気がしたけど、それでも構わず。
ーー好きだ、結婚しよう。
今度は聞こえるように、はっきりと、彼女の目を見つめていうと。
ーーーー。
今度は彼女は涙をこぼす。
彼女の態度に僕は慌ててしまう。
そんな僕に、彼女は言った。
ーーはじめてだ。
ーーえっ?
――君が、自分からそういう事言うの。
涙を拭って、彼女は笑う。
その笑顔は今までのどんな笑顔よりも、魅力的に映る。
――私ね、君の事が好きだよ。でも……君が私を好きかどうかはわからなかった。
だって、いつも黙ったままだからと彼女は言った。
そう言われると、返せる言葉はない。
事実だったから。
困った僕に、彼女は再度笑う
――だけど、いいんだよね? 私自信を持ってもさ。
そんな魅力的な笑顔で言われてしまえば、僕の答えは一つだけ。
勿論という言葉と花火が夜空を彩ったのは同じ瞬間。
直後に激しい轟音が鳴り響く。
聞こえたかな、と思うけど。目の前の姿に顔が綻ぶ。
それは――
彼女がとても綺麗な笑顔の華を咲かせていたから(終)
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