表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/66

9:夢です、夢。

 



 ユリウスがフンと鼻で笑いながら、更に言葉を続けた。


「で、アリスターにも手紙を出したらしいな?」

「ふぐぉ……」

「馬鹿なのか?」


 出したわけじゃないのよ。意図的に出してはいないのっ。不幸な事故なのっ。

 てか、アリスターの件もバレているっぽいけど、二人でなにか話したのかな?


「なななな中身は読んだのでしょうか?」

「いや。だが、確認したいことがあるから迎えに行きたいと言い出してな。あいつには何を書いたか言え」


 ――――偉そうに命令すな!


 いや、偉いんだけどさ。中身は聞かないで欲しい。


「私にはコレで、あいつには何を書いた? まるで未来を見てきたような内容だが?」

「っ、あ……いや、夢です、夢。ただ脳内から追い出したくて書いただけなんです」

「夢、なぁ。それにしては、妙に設定がリアルだがな。で、ヒロインとは誰だ?」

「夢ですので、知りませんわ」


 ふいっと顔をそらし、ティーカップを手に取った。ゆっくりと口をつけコクリと飲むと、好みの甘さだったこともあり、身体から緊張が抜けて、少しだけ心が和らいだ。


「そうやって目を逸らすときは、不安になっているときだろう?」

「っ――――!」


 ユリウスとイザベルは長い付き合いだから、そういう細かいとこバレているのよね。

 そりゃ不安よ。だって、ユリウスの婚約者になったんでしょ? ということは、ヒロインはユリウスコースを選んだってことじゃ…………あ、そういえば、もうひとつのルートもユリウスの婚約者だった。


 近衛騎士ラウル【♡♡♡】のルート! ラウルルートも、ユリウスの婚約者だったじゃない。

 どのみちヒロインを虐めなければ問題なさそうに思えるけど、怖いことがある。

 それは世界の強制力や修正力と呼ばれるもの。


 前世のコミックやアニメで良くあったパターン。

 辿り着きたくない未来から逸れたはずなのに、ルートに戻されて抜け出せないとか、本当によく見たもん。


 もしも、あれが発生する世界なのなら? この抵抗も無駄? いえ、諦めたらそこで負け確よ。そんなの嫌よ。

 私は、ハッピーかつピースフルに人生を謳歌したいのよ。『波乱万丈イザベル物語』みたいになんか恥ずかしめの劇とかにされたくないのよ!

 

 ちなみに、最近巷で流行っているのは『肉食令嬢』という劇。異性関係での肉食かと思いきや、お肉大好きなだけのドタバタ狩猟劇らしい。

 見に行きたいのよね。すっごく人気で、チケットが全然取れないらしい。


「さっきから百面相がしているが、顔がうざいぞ?」

「言い方ぁ。もう少しまろやかに言っていただけませんこと?」

「ふん。で、何を考えていた」

「え? ちょっと現実逃避に『肉しょ…………いえなんでもございません」 

「ふぅん?」


 コレ、言ったらユリウスがチケット持ってくるやつでしょ? ギスギスした状態で、王族用観覧席とか座りたくないわ…………想像しただけで鼻水垂れそうよ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


「お前を愛することはない」と言われたので「そうなの?私もよ」と言い返しておきました。 〜氷の貴公子様と紡ぐ溺愛結婚生活〜
書籍表紙


美麗すぎてヨダレものの表紙絵を描いてくださったのは、『シラノ』様っ!
脳内妄想だった氷たちが、こんなにも美しく再現されるとか、運使い果たしたかもしれない……

あ! この作品も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
おデートとか諸々ね。ラブなストーリーを主に。コミックシーモア様は限定SSもあるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されていますので、一例としてリンクボタンも置いておきます。


▷▶▷ コミックシーモア

▷▶▷ honto

▷▶▷ Amazon

▷▶▷ BOOK☆WALKER

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ