65:それぞれの未来に向けて。
お茶会から一ヵ月。
マクシミリアンを主体として、新事業の進みは順調だ。国を巻き込んでの一大事業になりつつある。
今までは、国賓以外の諸外国からの来客は、知り合いの貴族や国に頼んで宿泊先を見つけるのが常だった。
よくよく考えたら、この国って、貴族用の宿泊施設がないのよね。まぁ、そもそも諸外国からの宿泊客がそんなにいないからだとは思うんだけど。
マクシミリアンは、そこら辺も事業計画に組み込んでいて、いわゆるツアーのようなものを開催して来客を呼ぼうとしている。
エドヴィンはそれらの来客のリストアップや入国手続きの取りまとめなどの中継ぎを、アリスターの下で行っている。
クリスティーナは、エドヴィンが頑張っている間に、両親たちと共に困窮した貴族たちに、事業への参加の呼びかけをしたり、花嫁修業に勤しんでいた。
友だちは相変わらず出来ていないらしいけど、私たちがいるからいいのだと微笑んでいた。
「せっかくいろんな人と会うチャンスがあるのにね? どんどんと交友関係を広げてほしいわ」
「イザベルが言えたことか?」
「煩いわね」
ユリウスの執務室でお茶を飲みながら、攻略メンバーたちの近況の話をしていた。
ラウルは、近衛隊の隊長を目指して動いているらしい。脳筋のラウルにしてはかなり真面目にデスクワークも頑張っているらしく、頭から煙を出しているとかなんとか。
頭から煙がでちゃってるんなら、キャパオーバーでしょうに。
「なんでそんなにスキルアップ目指してるのかしら?」
「…………さぁな」
ユリウスの反応を見るに、何か知っているっぽい。たぶん教えてくれないやつなのよね。ケチね。
ツェザールは、マクシミリアンの事業を自分の国とも提携させたいらしく、一度国に戻って立太子の話をつけるとのことで、帰っていった。
去り際に、マクシミリアンの唇を奪って殴られていたのは、ちょっと面白かったけど、マクシミリアンはどう思ってるんだろう?
色々と謎と今後の進展は気になるものの、それぞれがしっかりと未来を見て進んでいる。
私もそろそろちゃんと動かないとダメよね? 婚約期間はあと八ヵ月ちょっと。その間にやれることはやっておきたい。
「結婚式の準備だけど、そろそろ始めたほうがいいわよね?」
「なんだ。覚悟が出来たのか」
「何の?」
覚悟なら割とちゃんと出来てるんだけど?
「私に愛される覚悟だ」
「っ!? なんで急にデレ!?」
――――いや、ほんと、なんで?





