47:友だち。
「その、異性で仲がいいのはエドくらいなので、幼い頃からエドのところにお嫁に行けたらいいねと、家族と話したりはしていました」
ほほほうほうほう。私の中の出歯亀がニョッキリ顔を出した。そういうのもっとくれ! あれ? これ、恋バナ? 恋バナなの? 本人隣にいるけど、無視無視。いま女子会中だから参加してくるなよ? 堪えろエドヴィン!
「うんうん。それで?」
「えっと、でもエドは好きな人がいるから諦めなきゃだし」
「……ん? いや、私じゃないってさっき言ったわよね?」
「あ、はい。エドには好きな人がいるからって皆さんに言われてて。だからイザベル様かなって思ったけど、違う人だったみたいです。私の知らない人なのかなぁ?」
「…………おん」
――――不憫すぎる!
これ絶対に、嫉妬したどこぞのご令嬢たちに植え付けられてるヤツでしょ? 事実を曲げて。
しかも、そのご令嬢たちって、エドヴィンがクリスティーナを好きなの絶対に知ってるパターンだ!
唯一の救いは、バレバレなエドヴィンだからどこぞの馬の骨は気遣って言い寄ってこないパターンっぽいわね。いま脳内のツェザールが頭の上に【♡♡♡♡】を浮かべて黒い笑みを零してたけど、無視でいいかな? やばい気がする。ぶっちゃけ、マクシミリアンもクリスティーナのこの感じ、好みそうなのよね。
「ふぅん? エドヴィンの好きな人って誰なの?」
「っ!? 聞きますか? 普通、ここでそれを聞きますか!?」
ちょっと怒り気味のエドヴィン。珍しいわね、こういう反応。今までの私の地位や態度で、こんなふうに接してくる人っていなかったのよね。
「だってまどろっこしいもの」
「俺だって、まどろっこしいですよ! でも大切なんですよ! こういうところで雑に伝えたくないですっ」
「いや、もう言ってるようなものじゃない」
「この程度じゃクリスティーナには伝わりませんよ! 鈍感の極みなんですから!」
いやまぁ、そうなんだけどね。そんな気はしてるんだけどね、クリスティーナが悲しそうな顔してるのよ。もしかしてさ、エドヴィンから伝えてくれるの待ってるのかなって――――。
「エドは昔からちゃんと話してくれないわよね。私、友だちじゃないの?」
――――気のせいだった。
「っ! クリスと友だちだったことなんてないっ!」
エドヴィンがガタリと立ち上がると、サロンから出ていってしまった。





