46:天然がやばい。
窮地に追い込まれたエドヴィンと、追い込むクリスティーナを眺めていたら、エドヴィンがこっちをちらっとと見てきた。それにつられて、クリスティーナも私を見る。
「あっ! そういうことね!」
なんか、嫌な予感がする。
クリスティーナがキラキラした瞳になる時は、ろくでもないことを言い出すと、この短い間に学んでしまっているもの。
「エドはイザベル様が好きなのね!? なのに、イザベル様からそう言われて困ってるのね!?」
「なんでそうなるんだ!」
「なんでそうなるのよ!」
クリスティーナが「わぁ、息ぴったりー」と両手をポンッと合わせて喜んでいるけど、そこじゃない。話をちゃんと聞いてくれと懇願するエドヴィンが不憫に思えて来た。
「クリスティーナ」
「はい!」
ちょっと声を落として真面目な顔を作る。
「私ね、クリスティーナの好きな人を知りたいわ」
「イザベル様ですわ!」
「うん、ありがと。好きな男性はいないの?」
クリスティーナが首を傾げながらうーんと唸って考えること三分。ハッとした顔で答えたのは「ユリウス殿下です」だった。
エドヴィンが真っ白になりそう。やばい、クリスティーナの天然がやばい。
「クリスティーナ、なぜユリウスが好きなの?」
「だって、大好きなイザベル様の婚約者様ですもの!」
――――やっぱりね!
クリスティーナのこの感じからいって、こうなると思ったのよ! エドヴィンは何でもかんでも衝撃を受け過ぎなのよ。長年の付き合いなんだから、わかりなさいよ。
「じゃあ、結婚したいなとか、恋人になりたいなって思う相手はいないの?」
「うーん? 我が家は貧しいので、持参金が用意できません。だから、結婚するのであれば、何かしらの契約が出来る家か、持参金不要の家になるかと思いますわ」
真面目なのよね。クリスティーナって…………あぁ、段々と思い出してきたわ。
だから、クリスティーナってヒロインたり得るのよね。
クリスティーナ自身から淡い恋心を感じても、一歩引いた感じがする。それが攻略対象たちを燃え上がらせて溺愛コースになるのよね。
いまも、エドヴィンが悲痛そうな顔になっている。特にエドヴィンの家は、クリスティーナを迎え入れることが難しい。だからこそ、燃え上がるのよね。
「持参金や支度金、そういったものがクリスティーナの家では用意できないほどなのね」
「はい」
「ねぇ、そういった諸事情を抜いて、この人と結婚したら毎日幸せだろうな、と思う相手っていないの?」
「え…………っと」
私の言葉にクリスティーナがチラチラとエドヴィンを見出した。
なんだ、ちゃんと脈あるじゃないの。





