45:悪い子ではない。
クリスティーナは、悪い子じゃない。むしろ良い子すぎる。そして、ど天然の鈍感で美人。
たしかに嫌われてしまう要素が多いと思う。それでも友だちゼロのボッチってありえるのかしら?
クリスティーナの隣で困り顔になっているエドヴィンに目を向けると、バチリと視線が合った。首を傾げて発言を促すと、眉間にキュッと皺を寄せられてしまった。
「なによ?」
「あ、その……友だちは確かにいないんですが…………」
そこで言葉を濁されると、続きが気になるんだけど? もしかして、まさかの恋人がいるとか!? エドヴィンルート完全消滅!?
「自信過剰と思われるかもしれませんが、その……私とつながりを持つための道具にされそうになったり、クリスティーナの言動に勘違いした男を巡って、相手が勝手に争おうとしてくるんです」
「あぁ、それで友人になる前に消滅すると」
「はい」
確かに、クリスティーナの勘違いさせる能力は、異様なほどに高いと思う。だけど、それに引っかかる方が悪いと思うのよね。
「貴方、そんなことでクリスティーナの良さを抑えつけたくないんでしょ?」
「っ……はい」
なんとなく見えてきたわね。
そういえば、クリスティーナとエドヴィンがくっついた場合って、エドヴィンの家は貧乏なままだったかしら? あ、精神的苦痛を与えたとかで、我が家が莫大な慰謝料を出したんだっけ? 私の持参金にもうちょい上乗せしたくらいを。
「二人の家ってけっこう困窮してるわよね?」
「なぜ急にそんな話に……」
「エドヴィンって、クリスティーナを娶るつもりでしょ?」
そう聞くと、エドヴィンは顔を真っ赤に染め、クリスティーナはきょとんとしていた。もしや脈なしか?
「え? エドって私のこと好きなの?」
クリスティーナ、小首を傾げて明らかに脈がない風に聞かないであげて。追い打ちがエグすぎるわ。
エドヴィンが、ちょっと涙目ではくはくと口を動かしながら、私とクリスティーナを交互に見ている。
これは流石にやらかした。なんか、ごめん。
「ねぇ、エド?」
おっと上目遣いからの、小首傾げ攻撃! エドヴィン選手、好きな女の子からのこの攻撃は辛い、辛いぞ!
この時の私は、脳内でアホみたいな実況しながら、目の前で行われるルート攻略最終局面みたいな状況を楽しんでいた。
まさか、ここからこっちに飛び火するとか、思わないわよね――――?





