42:マクシミリアンの訪問。
会議から一週間、使用人たちと距離を詰めつつ、わりかし平和に過ごしていた。
部屋の扉がノックされ、返事をするとマクシミリアンが中に入ってきた。頭の上に【隠しキャラ】というポップアップウィンドウをこさえて。
「あら、どうしたんですか?」
「……? いえ……いや、少し話したいと思って、な」
マクシミリアンは、日中はどこかに出かけることが多く、夜もわりと遅めに帰ってきているようで、同じ家にいるのにほぼ顔を合わせることがありませんでした。
「話しやすいように話せばいいじゃないですか」
「……何がだ?」
「女性言葉のほうが楽なのでしょう?」
「…………ハァ」
マクシミリアンが大きく息を吐いたあと、ティーテーブルのイスに座った。勝手に。
着席を勧めてはないんだけどなぁ、と思いつつその正面に座ると、マクシミリアンがララに紅茶を用意するように伝えていた。
長い話になるのかしら?
「ねぇアンタ、なんでそんなに当たり前に受け入れてるの?」
「ん? 何をです?」
「私のことよ」
茶色の長髪をかき上げるようにして、ふぅとため息をはく姿は、酷く女性らしい艶があった。
「急にこの家の跡継ぎに戻って来たのに、本物の兄かとかも疑わないし、この喋り方にも何も言わない。というか勧めてくるわよね?」
「だって、お兄様なのでしょう? あと、お伝えしたように、それが楽ならそうすればいい、というだけなのですが?」
そもそも、情報がね? 都合よくまた脳内に溢れ出してるし?
今回は流石にメモらなかったわよ? 二度とあんな黒歴史を生産してたまるものですか。
「妙なのよね…………」
「はい?」
含みを持たせて話しながら、ゆっくりと紅茶を飲まないでほしい。さっさと本題に入ってくれないかなぁ? まぁ、こういうやり取りって、物凄く貴族の女性って感じだから、後学のために様子観察しておくのもありだけど。
「あの二人が説明してないことも知ってるでしょ?」
マクシミリアンの言うあの二人とは、たぶん両親のことよね? 説明してないこと?
「あの人たちは、私がこうだって言ってないはずよ? 世間に知られたら恥ずかしいもの」
――――ん?
そんな感じじゃなかったけどなぁ?
「確かに詳細は話していませんが、それはお兄様に対する配慮の方で、ですよ? 誰だって言われたくないことや聞かれたくないことがあるでしょ? たぶん再会したばかりで、ちゃんと話が出来てないんじゃないですか?」
何を気にしているのか分からんなぁ、と首を傾げていたら、マクシミリアンの顔がめちゃくちゃ険しくなった。
「あの二人が、詳細を話してないのに、なぜアンタは知ってるの?」
――――ぬあ"っ!





