40:ボロクソ会議②
次に挙手したのは、パーラーメイドのジスレーヌ。
パーラーメイドは来客時などのコンパニオン的な役目もあるから、あまり関わりがないかと思っていたけど、そうでもなかったらしい。
「来客の案内時にチラリと様子を見に来て、『あれ、カツラっぽいわね』とか呟かないでくださいませ」
「……ごめん」
それはまじで、ごめん。来客の人も、ごめん。
「あー! 覚えてるよ。彼、めちゃくちゃ怒ってたねぇ。まぁ、カツラだったんだけどね」
――――お父様、黙りやがれ。
「他には?」
「個人的なことでも?」
「ええ、もちろんよ」
「何を食べたら、そんなに大木みたいになれるの? あ、その派手なお仕着せは女装しているみたいで似合わないわね。と言われた日は、怒りで一睡もできませんでした」
「ぬほぉぁぁぁぁごめんっ! ほんと、ごめんなさいっ!」
パーラーメイドは、長身で美人。そういう見た目で接客専門として雇われる。そして、他の使用人たちよりも装飾の多いお仕着せを支給されている。
ちなみにレディースメイド――女主人の専属侍女は、お仕着せではなく、少し大人しめのドレスを着ている。
この二つの職種は、見た目の良さからもひがみを受けやすいという記憶があるが……雇い主側がそれをしてどうするのよ、イザベル!
「貴女は、背が高くて所作も美しいわ。きっと、たぶん、お仕着せを着るよりドレスや執事服を着せたかった……着てほしかったんだと…………思いたい……」
「急にしどろもどろね」
お母様からの合いの手が入って、少しだけほっとした。
なぜなら、ジスレーヌは体型の問題と美しすぎるというか、なんかイケメン感があるのだ。男装の麗人させたい欲が口からポロリするほどに。
たぶん、旧イザベルの時もそんな感じのことを言いたかったんだと思う。
「確かに、ジスレーヌとそのお仕着せって合ってないのよね。ねぇ、ジスレーヌはドレスと執事服風のもの、どっちがいい?」
お母様からのまさかの提案に、全員がきょとんとしていた。もちろん私も。本人にそれを言うか!? と。
「執事服……を着たとして、奇異の目で見られたり、グランフェルト家が馬鹿にされたりしないのでしょうか?」
「あら、そんなのどうでもいいわよ。好きな服、似合う服を着て、何が悪いの? 似合わないものを嫌々着るのは拷問だわ。貴女、その服気に入ってないでしょ?」
「っ……はい。心の奧で似合っていないと自分でも思っていましたから、イザベル様に言われて余計に怒りが……」
なるほど。そういう経緯があったのか。
ジスレーヌって、本当にイケメン感がすごいのよねぇ、と眺めていたら、彼女が意を決したように私とお母様を交互に見た。
「可能でしたら、執事服を着たいです」
「よし、採用!」
お父様、ノリノリですね。会話の仲間に入りたかったんですね。





