34:ふわふわした記憶。
ユリウス主導のもと、少しずつ話がまとまってきた。
とりあえず、処刑しないという約束は今のところは口頭で。
一ヵ月後にまたみんなで王城に集まり、『お茶会』という名の経過報告会を行うこと。そして、その際に連名での書面を作ることにした。
「なんかごめんね」
全員が全員、空いている日というのはなかなかないもので、アリスターとエドヴィンが予定の変更をしてくれた。
「イザベルが謝ると気持ち悪いな」
「うるさいわよっ!」
ラウルはいつも一言余計なのよね。
「では、今日のところはここまでで。私とイザベルは夜会に戻るが、お前たちはどうする?」
「なんで私も? 家に帰りたいんだけど」
「イザベル、自分の立場を忘れていないか?」
「……あっ」
ユリウスのツッコミに、そういえば婚約者だと紹介されて、ほぼ主賓扱いだったことを思い出した。
みんなで休憩室に籠もっている間に、結構な宴もたけなわ時間になったと思っていたんだけど。さすがに帰ったらダメらしい。
クリスティーナとエドヴィンは帰るとのことで、王城の正面玄関まで見送りに行った。クリスティーナはなぜか私と腕組みして歩きながら一ヵ月と言わず、また会いたいと言ってくれた。でも、私たちの斜め後ろを歩いていたユリウスとエドヴィンに却下されてしまった。
「なんでなのよ?」
「…………理由は後で話す。エドヴィンは、帰ってからクリスティーナ嬢に理解させろ」
「はっ、承知しました」
なんか二人だけで分かり合っちゃってさ。仲間外れ感が酷い。そう言うと、ユリウスにめちゃくちゃ睨まれてしまった。もう、そのツンツンツンツンするのやめてほしいわ。
大広間に戻ると、両親が慌てたように近付いてきたので、どうしたのかと聞くと、隣にいるユリウスを見て気不味そうな顔をした。
「グランフェルト侯爵、どうかしたのか?」
「あー、いやね……うちの放蕩息子が戻って来ちゃってね」
――――は?
私には、年の離れた兄がいたと聞いたことはある。ただ、私が幼い頃に死んだと聞いていたから、実質一人娘であり…………あれ? なんか、なーんか、脳内にふわふわした何かの記憶が。
『隠しキャラ・マクシミリアン』
――――ずおわっ!?
なんで? なんでなの。脳内に切れ長の瞳の私とそっくりな顔の茶髪ストレートの男性が浮かんできた。
隠しキャラ!? いた? あのゲームに隠しキャラとかいたっけ!?





