33:出歯亀したい。
あまりにも報われないエドヴィンの想いに、ちょっとどうにかしてあげたいような気分になった。けれど、踏みとどまった。
なぜなら、こういうのって大概が無意味に終わるから。たぶん、クリスティーナに効かない。
エドヴィンが頑張るしかないから。
「エドヴィンルートの可能性はないから、どうなろうと構わん」
ユリウスさんや、この状況でソレはさすがに鬼畜仕様じゃないですかね? いやまぁ、ツンツンツンツンツンツンデレの名において、正しいのかもしれないけどね。
ほらもぉ、エドヴィンが白目剥きそうよ。追い打ちがえぐいのよ。
「だからといって、じゃあここで関係終了ね、は嫌よ?」
「なぜだ」
いや、なぜにユリウスが更に不機嫌になるのよ。
「だって、クリスティーナと知り合えて、仲良くなれたのよ? 友だちになったのよ? ね?」
「ええ、そうですわ。イザベル様と親友になれましたのに……」
クリスティーナがうるっとした瞳で訴え掛けてくれたけど、ユリウスは渋い顔だった。
ラウルはなぜか隣でそわそわしていた。トイレ?
アリスターはクリスティーナをジーッと見ていたけど、表情が読めない。
ツェザールの顔は見なかったことにした。なんか、覗いちゃいけない深淵がチラ見えしてたから。ぶっちゃけ、標的がクリスティーナに移ったら面白いなとかは思ったけど。
「では、定期的に皆で会して、近況報告し合うというのはどうだい?」
にんまりと笑ったツェザールが、そんな提案をしてきた。いや、確かにソレはいい案なのよね。ただ、ツェザールの笑みが意味深過ぎて薄ら恐ろしいというだけで。
「まあっ! 素晴らしいお考えですわ! ツェザール様、ありがとう存じます」
クリスティーナのキラキラ称賛に、ツェザールが目を見開いてきょとんとしていた。そして、フッと素の微笑みを一瞬だけ零した。
――――おや? おやおや?
元の世界でいつ死んだとか、なんかそういうのは記憶がないのか何なのか、全くわかんないけど、これだけは分かるのよね。
私、出歯亀めっちゃ好きだわ!
定期的に愛憎模様とか見たいわ!
こちらに飛び火しないなら、が条件だけど。
ツェザールの粘着力ってすごいのよね。
あと、クリスティーナのこういうスレてなさというか、本当にそう思って行動してる綺麗さというかに、みんな惹かれるのよね。私含め。
ユリウスもそうなのよね。
――――あら?
なぜか一瞬だけ、心臓がチクリと痛んだ。





