31:姉弟と兄妹。
仮説として、この世にはいろんな世界線が存在しているのかもしれない。
私のいた元々の世界と、この世界が時空の歪みとかで繋がりやすく、あの乙女ゲームを作った人は、夢か何かで見てストーリーを思い付いたのかもしれないし、実際に見たのかもしれない。
そして、その製作者のように私の魂が時空の歪みに巻き込まれて、イザベルの魂とくっついてしまったのかもしれないし、イザベルとしてただ産まれてきたのかもしれない。
かもしれない、ってことばかりだけど、たぶんそういう経緯があるはずだ。
世界の強制力も気になる。
婚約について、なぜか両親とユリウスの言うことが食い違っている。ワンチャン、ユリウスが捏造している可能性はあるけど。もうワンチャン、私が諸々の衝撃で実は記憶が所々なくなっている可能性も。
「まぁ、それらはわりかしどうでもいいのよね」
「どうでもいいのかよ。イザベルが変わりすぎてて、俺……ちょっとついていけてない…………」
「奇遇ね。私もよ!」
「イザベルもかよ!」
ラウルのこの軽い感じは話してて有り難いのよね。気心知れた姉弟って感じで。
「自分の中に二人いるような、でも同じ一人のような、そわそわする気持ち悪さとか、新しい記憶に襲われてパニックになったりとかもあったわ。それに、死ぬの怖いし……」
「あ……うん、ごめんな。そうだよな。必死になるよな」
「わかればよろしい」
ちょっとしょんぼりしたラウルは、いつもより更に弟っぽくて可愛らしかった。
「さて。ある程度、このアホな手紙の理由も分かった。今後のことをもう少し話し合いたいがいいか?」
「「はい」」
「ええ、もちろんですわ!」
キラキラと瞳を輝かせて、前のめりになっているクリスティーナ。たぶん、理解してないやつよね?
なんだろう。彼女はこのまま自由でいてほしいわね。
「クリスティーナって、本当に可愛いわよね」
「私に同意を求めるな」
眉間に皺を寄せたユリウスに、低い声でぶった斬られた。
「え、なんでこのタイミングでさえもツンツンなのよ? もう、ユリウスのそういうツンツンツンツンしてるところ、ほんと嫌なのよね」
「ブフッ」
隣のヤーツが牛乳吹き出した。きちゃない。自分で拭いてよね。
「イザベル様、違うのですよ!」
「なにが?」
前のめりのクリスティーナが更に前のめりで、テーブルに両手をついて立ち上がった。胸の谷間がバイーンと見えてるわよ? 眼福ね。
「ユリウス様は、イザベル様のことが大好きなので、私などといった有象無象は認識されていないのです!」
「「……」」
「ひいっ! クリス! ホントやめて、クリス!」
ドヤ顔のクリスティーナと、顔面蒼白のエドヴィン。この二人も結構兄妹感があるわよね。





