28:誰のせいで。
ユリウスと婚約するルートは……と考えていたら、ユリウスがこの際だから全員、手紙を目の前のローテーブルに出さないかと言い出した。
「断る。祖国について書いてあるから、リスクは避けたい」
不機嫌そうに断るツェザールと、断られて不機嫌そうなユリウス。そして、ソワッとなる室内。めちゃくちゃ空気悪い!
「ぬあっ……ごめん」
「「構わん」」
なぜかユリウスとツェザールが返事した。
「殿下、申し訳ございません。私も出すには少し……」
「え? ラウルのってそんなに書いてないでしょ?」
何いってんのコイツ? とキュッと握りしめていた封筒をひょいと取り上げてテーブルに開いて置いた。
「おまっ!」
「「……」」
「ほぉ?」
焦るラウルに、片眉上げてニタリと笑うユリウス。そして他は文面とラウルを交互に見てる。なぜ?
「きゃぁぁあ! そういう設定なのですね!?」
やっぱりクリスティーナは違う世界線にいるみたいだ。あと、どこに興奮する要素が? ちょっと聞いてみよう。
「幼いころからの秘めた恋心って、恋物語の定番じゃないですか!」
「おお、確かに」
「確かにじゃない! 人の秘密を勝手に公開するな!」
テーブルに置いた手紙を、ラウルが慌てて回収しようとしていたら、ユリウスがバンッと手紙を上から押さえつけて、「置いたままにしておけ」と、どえらく低い声で命令していた。
手紙を私の前に置いていたものだから、取ろうとするラウルと置いたままにさせようとするユリウスに、ギチギチに挟まれて身動きが取れない。
「秘密ということは、真実なんだな?」
「っ……」
「あっ、えっと、それなら私も出します」
二人のやりとりを見て苦笑いしたエドヴィンが、テーブルのうえに手紙を開いて置いた。
「あ! 見せあいっこね?」
「ふむ。まぁ、良いでしょう」
クリスティーナとアリスターもテーブルに開いて置いた。
「ユリウスもラウルと遊んでないで出しなさいよ」
「遊んでないだろうが。まったく。イザベルは人のことを言えないほどに鈍感だろ」
「「確かに」」
いま『確かに』がめちゃくちゃハモって聞こえた。誰だ。後で覚えておきなさいよ?
「……私は、ユリウス殿のみに見せます」
「ん? 助かる」
ツェザールから手紙を受け取り、ユリウスが「ふむ」と一言発したあと、手紙を返した。そして、その戻り際の手でなぜか私の後頭部を叩いた。普通に酷い。
「いだっ!」
「あれはない。馬鹿め」
「いや別に公開するつもりとかなかったのよ!」
「馬鹿め」
二回も馬鹿って言われた。否定は出来ないからそこの撤回は求めないけども。
「ツェザール殿、申し訳ないが公開可能な部分だけ読み上げてくれないか?」
「それなら構わない」
「なによ。ツェザールには優しいわね」
「誰のせいでこうなってると思っている」
ぐうの音も出ないツッコミいただきました。
「ふぁい。すみません」
「まったく」
隣でハァとどでかいため息をつかれてしまった。





