26:秘密と機密事項。
とりあえず座ろうと誘うと、ユリウスにがっしりと両肩を掴まれて、三人掛けのソファの真ん中に座らされた。そして左隣にユリウスが座ったかと思うと、右隣にサッとラウルが座ってきた。
「えっ、ちょ、狭い……」
「ふむ。私はここかな?」
ツェザールが一人がけのソファに座った。
アリスターがため息を吐きながら部屋の端にあったスツールを持ってきて座り、クリスティーナとエドヴィンにもうひとつの三人掛けのソファに座るよう言った。
「話せ」
「えっらそうに!」
「いや、この場ではユリウス殿下が一番偉いですから」
アリスターの真面目ツッコミなんていらない。
「イザベル」
「あーもー、はいはい。話すわよっ」
幼い頃からなんとなく感じていた異世界感。前世があるという記憶。
そして先月のお茶会での覚醒。
「……前世だと?」
「異世界というのは、ここと違う世界なのですか?」
怪訝なユリウスと、興味津々なクリスティーナ。なんだかすごく対照的だわ。
こことは違う世界で、エンターテインメントに溢れていたこと、とてつもなく便利だったこと、色々と話した。
「俄には信じられないね」
「そう、よね……」
「それに、君が違う世界で生きていた、前世を思い出したのだというのなら、私の秘密を知っているのは何故だい? 都合の良い嘘を言っているようにしか聞こえないねぇ」
――――ぬぐぅぅぅ。
ツェザールの言うことも確かだと思う。ただ、ここでゲームの話をしてもいいのか悩む。だって、自分の生きてる世界が作り物で今後の流れが決まっているなんて言われたら? 誰だって嫌でしょう? 自分が決めてきた道を否定されるのよ? だから、どう伝えようかと悩んでいた。
「あの……」
エドヴィンが恐る恐るといった感じで声を掛けてきた。
「なあに?」
「確かに俺、私の秘密も書かれてはいたのですが、調べればわかる程度のことではあったのと、クリスが言っ、あっ。クリスティーナが言っていたのですが、グランフェルト様が私たちを創作物の登場人物にしたいと――――」
「私のは機密事項だ」
ツェザールのピシャリとした言葉に、エドヴィンがシュンとしていた。あるはずのないもふもふな犬耳が、後ろにヘタリと倒れているのが見えるようだった。
「俺の秘密も……書いてあった…………」
隣でラウルがボソリと呟いたけれど、何か書いたっけ? 記憶にないわね。まぁ、どうでもいいことでしょ。
「あっ! 私は鈍感と書かれていました! ちょっと納得できませんっ」
クリスティーナのその言葉に、ユリウス以外がなまぬるーい視線を送った。
――――やっぱり、可愛いわね!





