25:癒やされたい。
人生には、想定外の出来事があると思う。支払われるはずのボーナスが入金されていなかったり、二ヵ月以上遅延したり、とかね。前世ではよくあったものよ。
それでも人生は続いていくわけで……………………周囲にわっさり集まってしまった攻略対象とヒロインを見て現実逃避するくらい許されるはずよ。
「……ん? その封筒は」
クリスティーナが握りしめていた封筒を目敏く見つけるユリウス。
後ろから「おやおや? ユリウス殿は知らないので? 彼女がヒロインですよ?」とか煽るツェザール。
「なるほど、こんなにも貴女からの手紙を受け取った人物がいるのですね」
状況を理解して眼鏡をキラーンさせるアリスター。
その状況にオドオドするワンコ系のエドヴィン。
そして、私をジッとみたままのラウル。そろそろ腕離せ。
つか、なにこのカオスな状況。
「一旦、別室で!」
あまりにも周囲の目が集まっていたので、こう言うしかなかった。最悪な状況を更に最悪にしている予感しかしないけど、観衆の目の前で騒ぎを起こすより、断然ましだろうと判断した。
人生には――――。
「それで? はぐらかさずに説明するんだよな?」
二度目の現実逃避は、ユリウスのどえらく低い声によって遮られた。
「ええ、聞きたいですね」
眼鏡キラーンするなアリスター。
「はいっ! どんな物語なのでしょうか!?」
一人だけ違う解釈してそうなクリスティーナ。可愛いわね。唯一の癒しだわ。極力関わらないようにしようと思ってたけど、やめた。
「っ! 私の癒しはクリスティーナだけよ!」
全員でぞろぞろと入った王族専用の休憩室で、クリスティーナに抱きついて癒やされた。髪からめっちゃ優しくて甘い匂いがするんですけど!? あと意外と胸あるわね。パフパフじゃないの。腰細っ。
「ググググランフェルト侯爵令嬢、クリスティーナを離してくださいっ」
慌てふためきながらそう言ったのは、クリスティーナの幼馴染でもあるエドヴィン。たぶん、手紙にあった私がクリスティーナを虐める的なやつで不安に思ってるんだろうなぁ。
「イザベル」
ユリウスの低ぅぅぅぅい声。明らかに不機嫌ね。
「はぁぁぁ。話すわよ。ちゃんと」
ここまで来たら、もう逃げられないしね。
頭が可怪しい判定で病院送りにされても仕方ないけれど、ちゃんと話さなきゃね。





