23:理解の及ばない相手。
ツェザールに連れられて、というか引っ張り込まれたボールルーム。手を繋ぎ、ホールドされ、ダンス開始。
「で、どうやって知った」
「……何をです?」
「私の身分だ。国王に連なる者しか知らないはずだ。ユリウス殿も知ってはいるが、彼が婚約者だからと話すはずがない」
なるほど、そうだったのか。誰が知っているかとかはゲームに出てこなかった気がする。
確か見聞を広めるということと、その間の実績で立太子の資格を得られるとかなんとかだったとは思う。ヤンデレそこまで刺さらないから、ストーリーをかなり流してしまっていて、記憶があやふやなところがある。
「……夢で見まして」
「ふぅん? なるほど?」
全く信じていないくせに、ニヤリと笑って納得したような雰囲気を出された。まぁ、ガッツリ嘘だからその反応は正しいんだけどさ。
「情報過多過ぎてノーセンキュー、とはどういう意味かな?」
ニコリと笑って、繋いでいる手をギリリと握りしめられた。
「いっ……」
「おや、すまないね。で?」
「ですから夢なので気にしないで……」
「ふぅん? 私ね、人の嘘に敏感なんだよね。すごく、臭うよ君」
ツェザールが私の首筋に顔を埋めてきて、スンスンと匂いを嗅いできた。何をしてるんだと思ったら、首筋をカプリと噛まれた。
「いだっ! ちょ……なんで!?」
「ん? 気に入ったよ。君を虐めるの、面白そうだ」
――――ぎぇぇぇぇぇ!
意味が分からない! めちゃくちゃ意味が分からないっ! 誰か助けて! 理解の及ばない相手だよコイツ!
ボールルームにいるラウルかユリウスに助けを求めたかったけど、ラウルはいなかった。ユリウスはなんか真っ黒なオーラを出してこっちを睨んでいた。
何あれ、めちゃくちゃ怖いんだけど!? なんでこっち睨んでんの? 睨む前に助けてくれ。いや、助けてください。この人、なんかヤンデレとかいう前に、めちゃくちゃ危険なタイプのドSなんです……。
「おや? ユリウス殿、どうされたのかな?」
口パクでユリウスに『助けて!』と言ったら、ダンス途中のヒロインをポイッと放り、こちらにガッツガッツと歩いてきた。
「ツェザール殿、少々羽目を外しすぎでは? ご自身の立場は理解されているので?」
「あぁ、重々承知しているよ。ただ、彼女から熱烈なラブレターをもらってね。どうやら君と不仲だから、私にチャンスをくれたようだよ?」
――――くれてねぇ!





