一の谷の逆上り
「一の谷の逆上り」とは、源平合戦の一つである一の谷の戦いにおいて、平清盛軍が逆に谷を上って戦ったという逸話を指します。
一の谷の戦いは、治承4年(1180年)に起こった源頼政率いる源氏軍と、平清盛率いる平氏軍の戦いでした。当初、平氏軍は谷の上流側に陣取り、源氏軍を待ち受けていました。しかし、源氏軍は渓谷沿いに進軍し、平氏軍を奇襲することに成功しました。この時、平氏軍は谷の下流側に逃れ、谷の出口を封鎖しました。
しかし、平氏軍は出口を封鎖したことで自らも動きにくくなり、源氏軍に包囲される状態となりました。そこで、平清盛は敢えて谷を逆上りし、源氏軍の陣地を奇襲する作戦を決行しました。この作戦は成功し、平氏軍は一時的に源氏軍を圧倒しました。
しかし、源氏軍はすぐに反撃し、平氏軍を再び谷の下流側に追い詰めました。この時、谷の出口が再び開かれ、平氏軍は撤退することに成功しました。一の谷の戦いは結局、両軍の激しい戦闘の末に決着がつき、平氏軍が勝利を収めました。
一の谷の逆上りは、平氏軍が過酷な環境下で戦うことを余儀なくされた中で、奇襲作戦を決行した機転と、源氏軍との激しい戦いを繰り広げた勇気と努力が光る逸話として、歴史に残る出来事の一つとされています。