追憶「サチ」後編
ニセゆうくん編、これにて完結です♪
サチ、即ちニセゆうくんがエルフの老夫婦に拾われてから数十年が経ち、彼は立派な大人になっていました。
しかし、彼の見た目は少年の時と全く変わらないままです。
老夫婦は、そんなニセゆうくんにも変わらぬ愛を注ぎ、幸せな生活を送っていました…。
「じゃあ、ちょっと行ってくる!」
「サチ、気をつけるんだよ…。
もしモンスターに襲われたら…」
「大丈夫、サチ、強いから!」
サチは、歳をとって山に行けない老夫婦のために、山菜を取りに行こうとしていた。
「じいちゃん、ばあちゃん、待ってて…!」
半日ほどで彼は山に着き、山菜を集めていた。
それはいつもと変わらない日常のはずだった。
しかし……。
ドォォォォーーーーーーーン!!!!!!
「!?」
凄まじい爆撃音と共に、村の方からたちまち煙が上がった。
「何か、あった…!?
村が…!!!」
彼は、凄まじい俊足で村に帰った。
しかし、そこはすでに焼け野原と化しており、辺りには力尽きた村人たちの姿が見える…
「じいちゃん、ばあちゃん、探さないと…!!」
「うぅ…サ…チ…」
「じいちゃん!!ばあちゃん!!一体何が…」
「何者かが、一瞬で村を焼き払った…。
ワシらはもう永くない…。
サチ、このツボとワシらの財産を持って、アルニグラードの城下町に行きなさい…。
そこで、素晴らしい出会いが……」
「じいちゃん…!!!ばあちゃん…!!!」
こうして、生まれ育ったエルフの村と最愛の両親を失ったサチは、
アルニグラードの城下町へと旅立ちました。
大好きなじいちゃんとばあちゃんの形見のツボを大事に抱えて…。
「このツボ、買いませんか!!
うぅ、全然、売れない…。」
「あれ、ボクと同じ顔…!
お兄さん、こんにちは!!」
これが、ゆうくんとニセゆうくんの初めての出会いなのでした…。
追憶「サチ」〜完〜