序章「出会いと別れ」
むかしむかし、あるところに1人の科学者がいました。
科学者は独り身でしたが、子供を欲しがっていました。
そこで、子供を異世界から召喚する研究を始めたのです…。
「よし、完成まであと少しだ…
この基盤をはめ込んで…っと…
ククク、もうすぐ可愛い我が子に会える…!
世界一の野球の才能を持った少年の髪の毛をここに入れれば、
そのコピーが誕生するのだ…!!」
男は不敵に笑いながら、ポッドに髪の毛を入れ、不思議な機械のスイッチを押した。
すると、その瞬間…
身長2mはあろうかという白髪の少年が男の目の前に現れた。
「ふむ…思ったより身長が高いようだが、良しとしよう…。
可愛い我が子よ、こっちにおいで…。」
少年は、戸惑っているらしくその場に座り込んだ。
「顔をよく見せておくれ…。
こ、これは…!!!」
少年の額には、もうひとつの目があった。
それは即ち、コピーに失敗したことになる…。
「なんだこれは、化け物じゃないか!!
こんなものは俺の子ではない!!
モンスターにでも食われて、消えてしまえ!!!」
「…!!」
男の凄まじい気迫に、少年は思わず逃げ出し、どこまでも走った。
山を越え、谷を越え…
そして…深い森の奥で倒れ込んだ。
それから半日が経った頃、
エルフの老夫婦が現れた。
「おや、どうやらエルフの子ではないようじゃの…
異世界からの迷い子、といった感じか…」
「今は眠っているようですが、このままにしておくと危険ですね…
あなた、どうします?」
「うちに連れて帰ろう。
おそらく、行く宛てもないじゃろうしな…。」
こうして、少年は老夫婦の子となり、幸せな子に育って欲しいという願いの込められた「サチ」という名前を授けられ、幸せな日々を送りました。
あの悲しい事件が起こるまでは…。