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俺が好きになったのは同級生の女子でもなく大人の女性でもなく親友の姉でした

作者: 来留美

俺には好きな人がいる。

彼女に会いたくて俺は毎日、通う場所がある。

それは俺の親友の家。

そこに俺の好きな人はいる。


「お邪魔します」

「また来たの?」


俺が親友の家に入ると真っ先に俺に声をかけた相手が俺の好きな人だ。

親友の姉だ。

彼女は俺の三つ上で大学生だ。


「ねえ。今、冬なの知ってる?」

「知ってるわよ」


彼女はこの寒い冬にキャミソール一枚にショートパンツで夏のような服装をしている。

俺は目のやり場に困る。


「何でそんな服装な訳?」

「今から着替えるからよ」

「部屋で着替えればいいのに」

「見たくないなら来なければいいのよ」


彼女は、そんな服装をしている彼女を俺が見たくないと思っているようだ。

俺は心の中でラッキーだと思っているのに。

彼女には伝わっていないみたいだ。


「そんなことはないよ」

「えっ、君って変態だったの?」

「はあ? 変態じゃない。これが普通の年頃の男子だ」

「じゃあ、これはどう?」


彼女はそう言ってキャミソールの紐の片方を肩から外す。


「いいよ。片方は俺が外そうか?」


俺はそう言って彼女のキャミソールの紐を掴む。


「もう、冗談よ」


彼女は顔を真っ赤にして言った。


「自分からしておいて照れるなよ」

「照れてないわよ。エロがき」


彼女はそう言って自分の部屋へ入っていった。

俺と彼女の毎日はこんな感じだ。

彼女が俺を年下扱いするのを俺がそれを阻止して逆に俺が彼女を年下扱いしてやるんだ。

年齢は俺より上だけど彼女の顔は幼く、どう見ても俺より年下に見える。

体つきは年上の女性のように色気はあるのになあ。

そんな目で彼女を見たらダメだ。

体が目当てとかじゃない。

俺は彼女を守りたいと思ったから好きになったんだ。

俺が彼女を好きになった理由。

それは一年前になる。


◇◇◇◇


俺は眠くなって親友の部屋のベッドで寝ていた。

親友はトイレに行くと言って今はいない。


「ちょっと、聞いてよ」


いきなり誰かが部屋に入って来て俺に抱き付いた。


「えっ」


俺は驚いて声をあげ布団から顔を出した。


「君は誰?」

「えっと、その」

「もしかして弟の彼?」

「えっ?」

「弟って男の子が好きだったの? 好きになるのに性別なんて関係ないわよね?」


彼女はブツブツと変なことを口にしている。


「いや、違いますから。弟さんの友達です」

「友達? そうよね。やっぱり私の弟は女の子が好きよね? 可愛い女の子が載ってる雑誌を見たりしてるもんね」

「あの。用事があったのでは?」

「あっ、そうなよ。弟がいないなら君に言うわね。私の彼が浮気したの」

「何故、俺にそんなことを?」

「だってムカつくじゃない? 誰かに言ってストレス発散よ」

「こんなに魅力的なあなたが浮気されるなんてその彼は見る目がなかったんですね」

「えっ」

「あっ、何かすみません」

「何で謝るの?」

「だって、あなたが泣いているからです」

「えっ」


そう、彼女は涙を流していた。

もしかしたら彼女は我慢をしていたのかもしれない。

悔しかったんだろうし、怒りたかったんだと思う。

何より好きな人に裏切られたのだから泣きたくなるのは当たり前だ。

俺はそんな彼女を見て、抱き締めていた。

彼女は嫌がることもしないで静かに涙を流していた。

俺は彼女のこの涙を見た時、恋に落ちたんだ。

もう、彼女を泣かせたくないと思ったんだ。



「ちょっと弟の友達君」


ある日、親友の部屋で俺がのんびり過ごしていたら彼女がノックもせずに入って来て俺を呼んだ。


「何?」

「デート行くよ」

「は?」

「あっ、私が今度先輩とデートだからその洋服を買いに行くよ」

「何で俺?」

「どうせ暇でしょう?」

「決めつけんなよな」

「でも、そうでしょう?」

「そうだよ。行けばいいんたろう?」


そして俺と彼女は買い物へ出掛けた。

彼女とのデートは嬉しかった。

彼女にはそんな素振りは見せないが。


「これはどう?」

「いいんじゃない?」

「じゃあこれは?」

「いいんじゃない?」


彼女は洋服を着ては俺に見せるのを繰り返した。

俺には彼女が着る全てが似合っていると思う。

悩む必要あるのか?

何でもいいと思うけど。


「ちょっと、ちゃんと考えてよ」

「考えてるよ」

「それなら、これとこれはどっちがいい?」


彼女は星の形のピアスとハートの形のピアスを俺に見せる。

正直、どっちでもいい。


「どっちでもあなたに似合うと思うよ」

「ちゃんと考えてるの?」

「この星のピアスはあなたの綺麗な長い黒い髪にすごく似合ってるし、でもこのハートのピアスはあなたの綺麗な唇と同じ色で似合ってるよ」


俺はそう言いながら彼女の髪を一束もち、もう片方の手の親指で彼女の唇をなぞった。


「なっ、何してんのよ」


彼女は顔を真っ赤にして言った。

また照れている。


「お決まりですか?」


店員が声をかけてきた。


「彼氏さんは彼女さんのことをよく分かっていますね。私も彼氏さんが言う通りだと思います」

「えっ」


彼女は店員に恋人だと思われ否定しようか迷っているみたいだった。


「俺は彼女のことは何でも知ってるんです。だから何でも似合うのに、彼女は俺にちゃんと選んでほしいみたいで」

「そうなんですか? それならごゆっくりお選び下さい」


店員はそう言って他の客の相手をしに行った。


「いつから私の彼氏になったのよ?」

「今」

「なってないわよ」

「また顔が真っ赤だよ」

「赤くないわよ」


彼女はそう言ってハートのピアスを買うことに決めたみたいだ。

買い物も終わり、帰ろうと電車を待っていた時だった。


「今日はありがとう」

「暇だったからいいけど」

「君って優しいよね?」

「そうかな?」

「君が彼氏だったら私を大切にしてくれるのかなあ?」


彼女は呟くように言った。

俺は何もこたえなかった。

それなら彼氏にする?

なんて冗談で言ってしまいそうだったから。

彼女に告白するならちゃんと言いたいんだ。


電車の中は満員だった。

隣のおじさんが彼女にすごく近い。


「こっちにおいで」


俺はそう言って彼女を壁側へ移動させた。

彼女はありがとうと言って笑顔を見せてくれた。

俺は彼女の笑顔に見惚れてしまった。



それから彼女はデートをしたんだと思う。

あれから一週間が経ったからそうだと思う。

デートはどうだったんだろうか?

彼氏ができたのかなあ?

俺はそんなことばかり考えてしまう。

それを親友の部屋で考えていた。



「最近、姉貴の様子がおかしいんだよ」

「様子?」

「ほとんど部屋から出て来ないんだ」

「何で?」

「ご飯は食べるし、大学にも行っているみたいだから心配はないと思うけど」

「今も部屋にいる?」

「うん」

「ちょっと様子を見てくる」


俺はそう言って彼女の部屋のドアをノックした。

彼女はどうぞと言ったので俺は彼女の部屋へ入る。

彼女の部屋は女の子の部屋って感じで可愛いかった。


「どうしたの?」

「最近、様子が変だって聞いたから」

「いつも通りだよ」

「そんな風には見えないけど」

「何で分かるの? 君は何で私のことをそんなに分かるの?」

「ずっと見てきてるから」

「えっ」

「俺は最初に出逢った日からずっと見てるから」

「どういう意味なの?」

「それは…………」

「好きなはずの彼とデートしたのに楽しくなかったの」

「それで様子が違う訳?」

「違うよ。そして私は誰と一緒にいるときが一番楽しいのか考えていたの。そして気付いたのよ。それが君なんだって」

「俺?」

「君と毎日ふざけたり、それでも君は優しくしてくれたり、私は君といて毎日が楽しかったの」

「俺もだよ」

「君もなの?」

「あなたをからかって真っ赤になる顔も、怒って拗ねる顔も、俺に見せる笑顔も、色んな表情を見せてくれるあなたといて楽しかったよ」


彼女は切ない顔をしている。


「どうしてそんな顔をするの?」

「だって君の言葉は私を幸せにしてくれるけど君と私の気持ちは違うから」

「気持ち?」

「君は私を友達の姉としか思ってないでしょう?」

「何でそう思うの?」

「だって、あなたは私をからかってばかりだもん。私を女の子として見てないでしょう?」

「ねえ、知ってる?」

「何を?」

「男っていくつになっても好きな子をいじめたくなるんだよ」

「好きな子?」

「うん。俺の目の前にいる可愛い女の子」


俺がそう言うと彼女は満面の笑顔を見せた。



それから俺は相変わらず親友の家に遊びに行く。

でもその後は違う場所へ行く。

親友の部屋じゃなくて親友の姉の部屋。

そう俺の彼女の部屋へ行く。


「ちょっと、ノックくらいしてよ」


彼女はパジャマから部屋着へと着替え途中だった。


「いいじゃん。もうそんな仲なんだし」

「そんな仲になった覚えはありません」

「そうだっけ? でもこの前、俺の前でキャミソールの紐を外してたよね? それってもういいよってことだろう?」

「あれは冗談よ。君に動揺してほしかったの」

「動揺してたよ。今も」

「嘘よ。全然、顔に出てないよ」

「顔には出ないタイプだと思う。ほら、俺の心臓の音を聞いて」


そして彼女の耳を俺の胸に当てる。


「本当だ。すごく速い」


彼女は俺を見上げて言った。

自然な上目遣いに俺の鼓動はもっと速くなった。


「あれ? また速くなった」

「それは君に触れたいから」

「いいよ」


彼女は頬を赤く染めて恥ずかしそうに上目遣いで言った。


「そんなこと言っていいの?」

「うん。私は君を大好きだから何でも許しちゃう」

「俺も大好きだ」


そして俺は彼女に優しいキスをプレゼントした。



「おい、お前ら。俺が部屋にいるときは変なことするなよ」


隣の親友の部屋からそんな声がしたのは聞こえなかったことにしよう。

読んで頂きありがとうございます。

「男はいくつになっても好きな人をいじめる」

そんなことを好きな人に言われたらいじめられるのも悪くないと思ってしまう私です。

皆様はどう思いますか?

楽しく読んで頂けたら幸いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 若い時はそうかもしれませんねぇ...( = =) トオイメ目
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