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ご都合転移を望んだ俺がバカだった  作者: 猫寄犬波
始まりの街
1/1

テンプレは突然に

 序盤何行か長ったらしい長文です。飛ばしていただいて構いません

―「レベル999の魔剣士、仲間から見捨てられたました」

 俺の手に取った本は、ラノベの中でもご存知の通りの異世界系に分類される作品だ。

 長文の題名というのは少し前までは目新しさを見せ、興味を引かせるというとても賢い技法であったが、今現在では使い古され目新しさの「目」の字もない常識である。というか長すぎなんだよ。

 ……とまぁ、この類のラノベにも長文の題名は頻繁に使われていて、そういうものには基本テンプレというものが存在する。ギルドで悪態をつく人間、知らない間に増えるヒロイン、即行で倒されるゴブリン、オーク、スライム etc……

 これらはほとんどが読者が気持ちの良くなる、いわばカタルシスのために用いられる。


 なぜ俺がこのような本を買おうとしているのかというと、俺はこの手のカタルシスが大好物だからだ。ネットのWeb小説で数えきれないほど同じような内容の小説を読みあさっていたが、とうとう親に叱られ泣く泣くスマホ没収。仕方なく本屋に出向いたのが今までの経緯である。なんとも情けない


 長文失礼…


「……たっか」


 思わず裏面を見たときの値段の高さに一瞬ためらうのは全国共通思考だと思う。特にこの分厚くて大きいタイプ(伝われ)に限る四桁の値段って何。娯楽が娯楽してないんですけど。これは買うの躊躇う。潔く諦めようか……


「おや、雷太くんじゃないか。どうしたんだこんな時間に


 本棚の前で決断を迫られていると、背後から聞き覚えのある声がする。


「……呉城さんこそ、珍しいですね。平日の昼間から」


「怪しんでいるところ申し訳ないが。今の私は昼休憩だ」


「14時半、すぎてますけど」


「時々思うんだ。人は呪縛から逃れた後に初めて幸せを手に入れるのではないのかと……」


 思わずため息をこぼしそうになるこの男。「呉城大地」。お隣に住んでいて、回覧板を回すときに時々話すくらいのため、何をしているのか未だ分からない。

 俺に言えた口ではないが一目でわかるダメ人間。


 ラノベコーナーにいるところを見られた為、一方的に気まずい雰囲気を感じている。今すぐ立ち去ろう、そうしよう。


「あぁまってまってくれ。何もそんな急ぐことないじゃないか」


「帰ります」


「えぇ……」


 この気まずいオタク向けコーナーから一刻も逃げたいからその手を離して。

 こう言った年配の人って下手に若者の関心を得ようとすぐそういう話題降ってくるから!控えめに言って地雷だから!


「異世界もの、よく読むのか?」


「まぁ、はい」


 ほらねー言わんこっちゃない。こういうの話つなぐの無理だから!やめてくれ!


「もし、自分が転移したら楽しいと思うか」


「はい?そりゃ嬉しいですけど」


 だいぶななめ上からの質問。なんかもうすこし別の話が来ると思っていたが。


「もし、私が魔法を使えて、なんなら今ここで君に転移の魔法をかけたら、許してくれるか?」


今、なんて


「あの、どうい……う……」


とたん、店内が輝き出し。やがて目の前に無数の丸い紋様が現れた。

 ……ヤバイ、夢だ。悪い方の。


「まっっっって!何してくれちゃってんの!?ちょっと、呉城さん!聞いてます?!

アーーーー!足が崩れる!!まってこれマジの転移!!生きていけるわけないから!!

助けっ助けt」


「少年よ、さっきの言葉を忘れるなよ」


()()()()()()()()()




あんた娘いないでしょうが!?

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