お風呂に入るお話
スマホばかりいじってるおねえちゃん。おふろ入ったのいつ?ってきいたら1ヶ月まえだって。……おふろいっしょにはいろ?
今日も今日とてスマホを触る。
何も成さずともスマホは触れる。
一日を堕落で過ごしながらスマホを触る私。
何をしたい? 何がしたい? 疑問は尽きず、然りとて、追求しようと動くわけでもない。
教えて、私はどうしたいの?
答えて、どうしたいのか。
思考を停止して、私は今スマホを触っている。
思考を停止して、私の心は障っている。
下らない、下らない、私がしたいことは見つからない。
知らない、知らない、何も知ろうとしなかったから。
「ねえお姉ちゃん」
「どうしたの」
「なんでお姉ちゃんはスマホばっかり触ってるの?」
「だって他にすることないし」
「……さっきお母さんが部屋片付けなさいって怒ってたけど」
「掃除なんてする必要ないし、別に散らかってないでしょ?」
「う、うん、ソウダネ……(ふぇ~、ごみ汚いよぉ……)」
「なに? 文句でもあるわけ?」
「何でもないけど」
「けど?」
「みんな困ってるから……」
「みんなって誰よ?」
「えっと……家族です」
「家族? ならあんたも入ってるの?」
「う……うん」
「へえ……例えば?」
「た、例えばって?」
「ほら、さっき言ってたじゃん。困ってるってさ」
「そうだけど……」
「なに? 言えないようなことなの?」
「そうじゃないけど……」
「ならさっさと言いなさいよ」
「うぅ……お姉ちゃん怖いよ……」
「そう? 性格悪いとはよく言われるわね」
「……」
「冗談よ冗談、別に問い詰めようとしてる訳じゃないから、安心しなさい」
「そっか、じゃあお姉ちゃんお風呂に入って!」
「え、なに? 私臭うの?」
「うんっ!」
「曇りなき笑顔で……そう、私臭うのね」
「お母さんが『女の子なのに、出張から帰ってきたお父さんの靴下より臭うわ』だって!」
「ミカ」
ガシッとミカの肩を強く掴んだ。
「な、なにお姉ちゃん?」
「今すぐお風呂沸かして」
「えっ、えっ?」
「父親の靴下より臭いなんて嫌ぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
「お、お姉ちゃん大丈夫だよっ! この間清正君が気分悪くて吐いちゃった時に、頭からかぶっちゃったのよりましだもんっ!」
「ゲ○と比べられても……て言うかミカあんた頭からって」
「うんっ! 後でちゃんと謝ってもらったよっ!」
「そういう問題じゃないでしょ……それでその清……なんとかはなんて?」
「えっと清正君は『ゲ○掛けられて平然としてるなんて……すげぇな岸本』だって!」
「いや、それ謝ってないじゃん!?」
「あっ、ほんとだっ!」
「ねぇ、ミカ……あんたさ、もう少し人を疑うことを覚えた方がいいよ」
「なんでー?」
「なんでって……そりゃ勿論あんたが……」
「わたしが?」
「いや、何でもない」
「ふぇ?」
「お風呂入ってくる」
「あ、ちょっとお姉ちゃんっ! 今は──あー、行っちゃった。今お兄ちゃんが入ってるって言おうとしたのに」
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「ふぅ、お風呂なんて何ヵ月ぶりだろ?」
ガラガラガラとお風呂場の戸を開くと
「あ? ミコト」
「へ、へっ!? なんでい──イヤぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
「あ、お姉ちゃん今お兄ちゃんお風呂入ってるからー」
「「もう遅いわっ!?(のよっ!?)」」
そして数分後
「──で、なんでこんなことになってるのよっ!?」
「いや、俺が知るかよ。ミカ目痛くないかー?」
「うんっ! お兄ちゃん上手だから大丈夫だよっ!」
「そうかそうかー! ミカは良い子だなー! それに比べて……」
「なによ私の方見て……」
「お前は堕落したな」
「っさいわねっ!? 何か悪いっ!?」
「いやー、悪いわ悪い。悪女だろ」
「お姉ちゃんは良い子だよ?」
「ミカ……」
「いや、ミカ騙されちゃだめだ。ミコトは学校にも行かず寝てばかりいる不健康児だ。お蔭で無駄にでっかくなって……」
「ど、どこ見て言ってんのよっ!?」
ミコトは思わず胸元を腕で隠した。
「ばーか、図体の話だよ」
「どうしたの二人ともー?」
「えっとなー、大人の会話?」
「ばっ!? ばっかじゃないのっ! 小学生の前で何口走ってんのよっ!!」
「言葉の綾だよ言葉の綾」
「ぐぬぬ……」
「ねーねー、何の話ー?」
「気にすんな、こいつが変なだけだ」
「……もう出る」
「メンタル弱ぇなお前」
「……っさいわね」
「えー、お姉ちゃんお風呂出ちゃうのー? 一緒に入ろうよー!」
「え、いやっ、でも……」
「可愛い可愛い妹のお願いを無下にするなんて酷いお姉ちゃんだなー?」
「ぐっ……出るったら出るのっ!」
「えー、分かったー」
「諦めるの早っ!?」
「年頃の妹が兄と一緒に湯船に浸かるとか有り得ないから」
「まっ、俺としてはミカとゆっくり一緒に入れるからいいけどなー」
「ふわぁ……あったかーい」
「……いる」
「なんて?」
「やっぱり一緒に入る!」
「は?」
「わーい、やったー……zzz」
「っておいっ!? ミカ寝るなっ!」
「ちょ、こんな所で寝たら死ぬからっ!?」
ミコトが足を滑らさ湯船にぼっちゃーん。
「「きゃああああああ!!?」」
「ふぇ~……」
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「いやー、誰かさんのお蔭で死ぬかと思ったわー」
「……悪かったわね」
「お風呂暖まったら眠たくなってきちゃった……」
「あんたはもう寝てきなさい」
「ふぁ~い……」
おふろで寝ちゃだめだよ!死ぬよ!
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