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人見知り少女のお話

人見知りだから、人としての営みとか人間関係とかめんどくさいから。そうだ、何でもできる最高スペックの配下を作ればもう何もしなくてもいい……わたしはごろごろするだけ。

 人と交渉するのめんどくさい、優秀なヒト作って全部任せる。


 ここにアリス・プラスティの物語は始まった。


 人なんかと会ったら吐く。わたしは人見知りだから。小さい頃から独りでいた。ずっと暗い部屋の中に独りで。裏切られたから、見棄てられたから、だから人は嫌い。人なんか大嫌い。わたしは独りでいい。独りで十分。他の誰かなんて必要ない。この世界にわたしだけが居ればいい。他の誰かなんて必要ない。必要ない……。


 そうだ、作ればいいんだ。自分で作ったならそれは人じゃない。人に似たナニカ。それなら何も問題なし。わたしは虚空に魔力を籠め、深く念じた。


《《《《眷族創造》》》》


 金髪のロングヘアーにキリッとした紫の瞳。まるでアリスをそのまま大人にしたような姿で──


「おぇぇ……」


──わたしは吐いた。


 だめだった。人の姿してる時点で人だった。わたしの考えが甘かった。自分に似た姿なら吐かないと思ったけど見た目とか髪の毛が違う時点でわたしじゃなかった。だめだ。リリースしよう。自然に還そう。


「……」


 黙ってる。黙ってこっち見てる。どうしよう。また吐きそう。こっち見ないで。あ、目反らしてくれた。なるほど、わたしが作り出した存在だからわたし言うことは聞く、真理だな。何時もならそろそろストレス過多で血を吐いてるところ。しかし大丈夫なのは一重に顔が似てるから。親近感……なのかも。吐きそう。


「……大丈夫ですか契約者マスター?」


 心配そうに声を掛けてくる。しかし吐きそう。ごめんなさい。声を掛けられたらストレスで死ぬ。


『……契約者マスター?』


 頭の中に声が響いた。


「おぇぇ……」


 余計に気持ち悪かった。脳内で話し掛けるのはえぬじー。ぜったいだめ。すると次は直筆をし始めた。なるほど、文字で伝達を。これならできそう。──『名前を付けて』名前、いる? あ、落ち込んだ。今から考える……顔が似てるからアリス2号。いや……? なら……金髪だからゴールド。微妙な顔。他には……きんかくじ。ゴールドでいい? ゴールド。おねがいします。


 空が暗い。でも寒さを感じない。なので野宿でも構わない。と思ったけど、外にいると気分が悪くなった。うっ……。だから家を作った。ちょっぴり大きな黒いお城。自信作。侵入者を感知すると自動的に撃退する優れもの。これで誰にも会わずに済む。外装と内装のアイデアはゴールドが考えた。わたしは自分の部屋を作った。割りと自信作。そして今正に部屋で読書してる。たのしい。わたしはここから出ない。するとゴールドがボードに文字を書いて此方へ向けた。


『アリス、命令をください』


 今正にこうしていることがわたしにとって至福の一時。他には何も要らない。だからゴールドのすること何もない。わたしの願いはもう果たされた。しかしゴールドは不満そう。何が悪いのか分からない。


『アリス、私は何の為に喚ばれたのですか?』


 わたしは人と会話できない。だからゴールドに代わりにやってもらう。わたしが何も言わなくても、何でもこなす優秀な人。それがわたしの求めていたもの。だから






 黒髪のロングヘアーに、アメジストの様な紫の綺麗な瞳。全体的に美少女と言って差し支えない容姿たが、その生気の感じられない死んだ様な目が全てを台無しにしていた。そんな彼女の名はアリス・プラスティ。地球からの転移者だ。


 アリスはその髪の色と目の色が要因で、内包する魔力は莫大。転移者ということを省みても圧倒的。魔神と言われればそう信じてしまいそうになる程の魔力量を持っていたのである。


 しかし、アリスには一つ致命的な欠点。もしくは弱点と言えるものが一つあった。

 それは極度の人見知り。知らない人と一緒の空間に居るだけでも吐き気を催し、頭痛に苛まれるという重症状の持ち主なのである。電話越しでも蕁麻疹が出るというその人見知りの徹底ぶり。もし人々が闊歩する町中に放り込まれでもしたらアリスは数分と足らず死に至るだろう。文字通りだ、死ぬ。



 もう一度言おう。死ぬ。




 であるからして、アリスが異世界に転移し、圧倒的な強さを手にしようとも、町には入れず、仲間もできず、永遠に一人でその生を全うするのである。


 

 そんな残念な少女アリスには一つ好きなものがあった。それは本である。本に出てくる主人公は仲間と苦楽を共にし、色んな場所へ冒険するのである。


(わたしにはそんなことできっこないけど……)


 勇者が仲間たちと談笑するシーンを読みながらそう自嘲気味に考えてしまうアリスの思考は人見知りのこともあってか若干ネガティブ寄りになっている。


 異世界へ転移してアリスが真っ先にしたのは配下の召喚。人との会話が成立できないアリスのための交渉担当である。


◆◆◆

「おはオェェェェ……」


「ご主人様ァ!?」


人が同じ空間にいたら吐きますよね?え、吐かない?うっそだー!……え、ウソでしょ……?


これが現実です。


↓ポイントをいただけるとうれしいのでつづきがかけます。(にゃー)

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