煙の重さ
煙草が変わると気分も変わる
箱を開けると葉の香り
軽く咥えてジッポを鳴らす
砥石がじゅっと擦れる音が
僅かな爽快感を与えてくれる
息を吸い込み先端を火に近づける
不完全燃焼の赤がゆらめくその様は
いつ見てもため息がでる
口に入る煙は重く
深く香ばしい味わいは心身を酔わせる
女が吸うには渋いねなどと
男に言われる1本を口の端に
濁った煙をただ眺める
そんな一見無駄な時間が
何よりも心落ち着くなどとは
今の世の中声を大には言えないだろう
だから種類を変えてみた
使う力は火から電気に
煙の香りや色も透明度が増し
味わいも随分軽さが増した
吸ってるものは変わらず”煙草”
それでも人工的な雰囲気漂うその一服は
妙に肩の力が抜けきらない
周囲から煙たがられるあの香りが
あの不健全を色と動きで表すようなあの煙が
無性に恋しくなってしまうのは
ただの”口寂しさ”と言っていいのか