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CRY CROWN(クライ クラウン)  作者: 三上集(みかみしゅう)
第3章『~革命軍特殊捜査部隊 修行編~』
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第一章29 『師匠と弟子』

 革命軍支部、特殊捜査部の朝が訪れる。   

 

 カウンターに朝食を配るセクシーな格好のお姉さん。

 朝食を食べるロカとシド。

 

 大部屋に続く廊下から歩いてくるナキと雨月。

 

 その2人の背後から折り畳んだ黒い布を持ち歩いてくる赤縁眼鏡のリリィ。


 ロカとシドが廊下へと視線を移す。


「おっ、きたきた」

 

 ロカはスプーンを握った手を止めた。


「ロカ総隊長、服持ってきましたよ!」


 その声に反応し、後ろを振り向く2人。


「あれ?」


 ナキはそう言うと、すぐざま視線を下に落とした。


「おはようございます。ナキ君、雨月君」


「えぇ~っと」


「私の名前は『リリィ=スターチス』。5番隊の副隊長をしています!」


(昨日の記憶がないのかな……)


 雨月がリリィをじっと見る。


「そうだ!おはよう、リリィさん!」


「おはようございます!」


「はい、これは入隊のプレゼントです」


 リリィは黒い布をナキと雨月に渡した。

 受け取る2人。

   

 雨月が口を開く。


「これは…?」


 ロカがそれに答えるように雨月を見て言う。


「それは革命軍のコートとフード一体型インナー。オレたちの象徴さ。まぁ着てみなよ!」


 そう、ロカが説明をするとナキと雨月はその場で黒いコートとインナーを着用した。


「うをおおお。いかっす!」


 目をキラキラと光らせながらポーズをとるナキ。


「だろ!わかってんな、紅髪!」


 言葉を吐くシドと笑うロカ。


「雨月君もすごく似合ってますよ!」


 雨月の隣でリリィが話かける。


(この人、やっぱり昨日とは全然別人のようだ…)


 雨月が苦笑う。


「ありがとうございます。それにしてもフェイスマスクにフードを被ってファスナーを首まで上げれば、ほとんど誰かわからないですね」


「そうなんです。革命軍であること以外はわからないように作ってありますから」


 赤縁メガネのつるをクイッと持ち上げるリリィ。


「それでは本日からいよいよ、お2人さん、ファイトですね!また何かわからないことがあったらいつでも私に聞いてください!あっ、ナキ君は私の授業も受けてくださいね!」


「はい」


「わかった!リリィさん」

   

 続いて、廊下からロアがやってくる。胸元が少し開いたセクシーな白黒の軍服のような衣装。首に巻かれたマフラー。黒いショートパンツ。そして、太ももに巻かれた2本のベルト。


 ロアの足音に気づき、一同は廊下へ視線を移した。


「みんな、おはよう」

「ロア、おはよ」


 ロカはいつも通りの笑みで挨拶する。


「よっ」


 シドはカウンターにひじをつき、手をふらっと上げ返事をした。


「おはようございます」

  

 雨月がそう口を開くとロアは軽蔑するような眼差しでナキを見つめた。


「はい、出ました。鬼対応」

 

 ズーンっと落ち込む様子で床に手をつくナキ。


「ナキ、ロアさんに何かしたのか?」


 雨月が口を開く。


「何もしてねーよ!あいつが勝手にぃ!」


「何っ?私に何か文句でもあるの?」


 ロカが額に汗を流し苦笑いする。

 

「ロア、ナキと仲良くしてね」


「はーい」


 ロアは口をポッと開け、不満げに返事をした。


「よし!それじゃ、だいたいメンバーもそろったみたいだし、ナキと雨月の指導者になる師を発表するね!」


「よっし、きたぁああ!」

 

 ワクワクと気持ちを高ぶらせる様子でナキはロカを見つめた。


「あ、そうそう。先に言っておくけど、これから発表する師弟は当分の間は基本的に2人1組で動いてもらうから上手く連携をとるように」


「ってことで、まず雨月の師から発表する……」


 ロカが隣のシドの肩をポンッと叩く。


「2番隊隊長『シド=エンドアイ』だ」


「シドは戦闘の駆け引きが上手い。だから雨月のカラ傘を生かせる攻防を徹底的に学ぶなら最適な師になると思う。カラカサ一族は昔から身体、気力と能力値が高い一族だからね」


 雨月はロカの隣でカウンターに座っているシドを見る。


「カラカサの生き残り、よろしくな」


 シドが笑みを浮かべた。


「よろしくお願いします」


(革命軍2番隊隊長、シド=エンドアイ……。名の知れた長刀の使い手。まだ得体は知れないが強者であることには違いないだろう)

   

「そして次にナキ!」


「はぁい!」


「君の師は……」


 ナキの顔を見てロカが笑みを浮かべる。


「おめでとう!!なんと、2番隊副隊長『ロア=ブラックチェリー』だ」


――と、その瞬間。


 ナキとロアの時間が凍結した。


************************************************


「いやいやいや……」


 冗談という名の現実逃避を思わせるようにナキとロアの2人は小さく笑みをこぼすと顔の前で揃って手を横へ振った。


「って…えぇぇぇええええええ!」


 驚いた様子でナキとロアは声を上げる。


「ロカ総隊長!冗談はやめてくださいよっ!なんで私がこんなやつの面倒みなきゃいけないのよ」


「単純にナキを強くできるのがロアだと思ったからだよ」


 ロカが満開の笑みをこぼす。


 ロアは床に落ち込んだ様子で屈んだ。


「まぁまぁ」


 リリィもロアの隣で屈むとロアを励ますように背中をさする。


「リリィさ~ん」


 泣きじゃくりそうな顔でロアがリリィを見る。


「また、ランチの時にでも話聞くからね」


「なんで、また勝手にオレは嫌がられてんだよ」


 ナキは白目を向き、魂が抜けたように地に崩れ落ちた


 ナキも泣きじゃくりそうな顔でロカの足袖をつかみかかる。


「総隊長じゃ、ダメなのかぁ」


「ごめんねナキ。本当は教えてあげたいんだけど、オレは色々と立場上、忙しいからね。というか、ナキはオレよりロアに教えてもらった方が間違いなく成長するよ」


「総隊長の方が強いんじゃないのか?」


「うーん。強いをどう定義するかだけど、あぁ見えてロアはこの捜査部隊の中で1番基礎能力がしっかりしているからね。……まぁ、大丈夫!必ず強くなれるから!保証するよ」


 ロカは笑みをこぼした。

   

「まぁ3日も修行すればわかるから。嫌ならそれからでもオレに言いにおいで。ね、お2人さん」


「はーい」


 頷くナキはなんとか納得した様子を見せた。


(絶対、師なんて3日でやめてやるんだから)


 ギクッと冷汗をかくナキの背後から感じるロアの視線。


 ジーっとナキを感情のないアップルグリーンの瞳で見つめるロア。


「さぁ、ついてきなさい」


(大丈夫かな。あの二人……)


 リリィが苦笑う。


(まぁでも総隊長の判断は間違っていないと思うわ。基礎地盤の固まっていないナキ君は戦闘も知識もスポンジのように吸収力があるはず。だから基礎能力に特化したロアは師としてぴったりだと言える)


 続いてシドがニヤリと口角を上げる。


「さっ、オレ達もさっそく行こうか」

「はい」

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