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CRY CROWN(クライ クラウン)  作者: 三上集(みかみしゅう)
第1章『~第3王宮脱獄編~』
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第一章9  『新たな刺客』

 第3王宮地下2階、薄暗いトンネル。

 壁に均一に張り巡らされた灯。


――タッタッタッタ……。


 ナキ、シャルル、雨月の3人は走り、トンネルの最奥まで駆け抜ける。


 トンネルの奥に現れる土壁。


「行き止まりじゃねぇか!」


 土壁に両手をつけるナキ。


「そう簡単にはいかないか」


 雨月が呟く。


 シャルルが土壁づたいに片手の平をあてながら歩く。


「あった」


 土壁から少し飛び出た土角。

 シャルルは、土角を掴み下へと引っ張った。


――ガッシャン。

――ゴゴゴッゴゴゴゴッゴ。


 両サイドにひらける土壁の扉。

 その奥から現れる巨大な螺旋階段。

 雰囲気はロイヤルブルー。

 暗くもどこか「品」に包まれた螺旋階段。


「この螺旋階段を登れば、出口へと繋がる1階フロアへ行けるわ」


「おぉ。やるな!シャルル!」


「私を誰だと思っているのよ。第3王宮第3王女シャルル様よ!(ドヤッ)」


 腰に手をあて。顎に指をそっとおき。

 上目遣いで決めポーズを取るシャルル。


「すげぇな~」


 螺旋階段の上を見上げるナキと雨月。


「もうっ!」


 顔を赤らめるシャルル。


「えっ?」


 ナキがシャルルを見る!


「何もない!」


「雨月、あいつ何で怒ってんだ?」


 知らないと言わんばかりに、雨月は首を傾げた。


「さぁ、天帝会に気づかれる前に急ごう」




******************************


――タッタッタッタ……。


 ナキを先頭に螺旋階段を駆け上がる3人。


「もうすぐで、1階フロアよ」


「あぁ!」


――ガッシャン。


 ナキは目の前に現れる1階フロアへと繋がる扉を開いた。


 扉の奥に広がるフロアの中央は広場。

 そして、2階へと続く大階段が聳え立つ。

 中心に敷かれる赤い絨毯。

 まさに王宮内の様式と言えよう。

 しかし、どこか役所のような作りを感じさせる空間でもある。

 壁を沿うように端々には「第3王宮・王都民課」や「生活安全課」など用件ごとの受付場所が存在している。


 すぐさま、状況を確認するために身を隠す3人。


――ザワザワザワッ。


 まず3人の目に入ったのは、ぎこちなく足行きを止める数十人の王都民であった。


 受付の前で立ち止まる足。

 外へと繋がる扉の前で立ち止まる足。

 部屋の中央で立ち止まる親子。

 椅子に座るご老人。


 第3王宮に用があったであろう王都民の不安な面々。


「どういうことだよ!ここから早く出せよ!仕事なんだよ俺わ!」


 扉の前に立つ槍を手に持つ天帝兵に訴えかける一人の中年男性。


 天帝兵は黙ったまま前を向き視線をずらさない。


「ママ~!早く帰ろうよ~」


 母親の袖口を引っ張る幼き少女。


「外へと繋がる扉や窓が全て封鎖されている……。もう、天帝会に気づかれたんだわ」


 悟ったようにシャルルが言う。

 焦るように3人の頬へと垂れる雫。


「この短時間で……」


 雨月は静かに呟く。


「くっそっ。シャルル!他に出口はないのかよ」


「一つだけ、あるにはあるわ。第3王宮の最上階からなら。でも……」


 シャルルは、ゆっくりと首を横に振った。


「でも?」


「希望が薄いってことだろ。この第3王宮には、まだまだ天帝会の兵たちがいる。ここは天帝国王都だしジーク看守長レベルのやつがいつ現れてもおかしくはない。それに最上階にいくまでに大量の兵を集められたら、俺たちじゃ到底太刀打ちできない」


「んっじゃ、どうすんだよ!!」

「少しは、お前も考えろ!」


 焦りから気が立つように、声を上げる2人。


「2人とも!しーーっ」


 人差し指を自身の口に当てるシャルル。


「うぅーん……」


 ナキは、しゃがみ込み、頭に両手をおく。


「やっぱり今はそれしかなさそうね。私達は進むしかない。何より早くしないと……」


「そうですね。できるだけ身を隠して行動しましょう」


「わかった」


 頷くナキ。




――キュィーン。ガッチャン。


 1階フロアから2階へと繋がる階段を上ったすぐ先にある扉が急に開く。


ドォーーーーーーーーーーーーーン。


 1階フロア内に降り注ぐ、重力で押し潰されるような空気。


 身の毛が立ち、瞳孔を開く3人。


「いやっ……」


 シャルルは瞬時に屈み、体を小さくする。


 2歩、3歩と引き下がるナキと雨月の足。


「なんなんだよ。これ」


 額に流れる汗。


「これは……あからさまにむき出た……殺気だ」


 雨月が小声で言った。

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