新魔導師長魔導師長
ー宮廷魔導師長ー
いやいや、あれはとても運の良いタイミングだった。
私の作り上げた可愛い『合成獣』の様子を見るために、少々無茶をしてしまいましたが……まさか、三匹投入して、押されてるとは思いもよらず。
檻の近くから中を覗き込みながら、何とか出来ないかと色々考察してた訳で。
そしたら何と、あの『神官の娘』が檻から這い出て来るじゃないか。
これは天啓、早速後ろから近付くと、至近距離から『眠り』の魔法を当ててやりました。
えぇ、完全に油断してたんでしょうね、アッサリと倒れてくれました。
よかった……神官って戦闘技術も有してるじゃないですか?私なんて研究一筋ですから、下手に近接戦闘でもされたら、アッサリと逝ってしまいますよ、えぇ、間違いなく。
気絶した神官を引きずりながら、王様の元へと戻る途中、騎士が来てくれましてね。
彼に抱えさせて、ここまで連れて来たと言う訳です。
いや~、ホント大変でしたよ。
「んー?!んんー!!」
ところで騎士の人、何故、王様の口が塞がれているので?
ご丁重にも猿ぐつわまでして、これではまるで……そっち系の趣味の人みたいじゃないかと?
えっ、違う?そんな気は無い?
それは良かった。
王を守るべき存在が、縛りプレイ大好きだと考えたら……心労で夜も寝れなくなりそうです。
まぁ、昼に寝てるんでしが?
「んんんんんー!!」
何やら王様が、とてつもない剣幕で騒いでる様に見えますが、これは一体……えっ、エイミー王女?
エイミー王女って言ったら、何ヵ月か前に行方知れずと言われた姫様で?
それが見つかった?階段の辺りで戦う集団の中に居た?
ちょっと騎士の人、私に分かる様に説明していただきたい。
階段辺りに居たと言う事は、敵って事で?
「んー!!」
王様が『違うー』って感じで騒いでる様に見えますが?えっ、これでいい?静かで安心?
よく分からないけど、私的にも『無茶しか言わない王』の相手をしなくて済むのは良い事で。
「んー!!んー!!んー!!」
はい、今度は何を言ってるのか分かりません。
えっ?騎士の人、これからどうするのかって?
私に聞いてどうするんです?何?ここの事に詳しいのだろと?
そりゃ~私の研究室なので……抜け穴?そんなモノは無い。
えっ?現状、とてもマズい?危険?どうにかしたい?
ふむ……取り敢えず、隣の部屋に避難するのが良いかと。




