足音足音
ーケルベロスー
取り敢えず、王妃とその一党は縛り上げて部屋の隅に転がしておいたが……これフェンリル、そんな目で王妃を睨み付けるもんじゃない、あんなのでも生きておるんじゃからのぉ~。
「生きてるかどうかが問題じゃねぇ、生きてる価値の問題だ」
ふむふむ、お主にしては考えたのぉ~、じゃがの、その価値観は『お主だけ』のものよ、他の者が同じとは限らん。
「分かってる、だが」
『だが』も何も無い、主であるエイミー王女が否定した以上、お主には何も出来んよ。
「はぁ……ケルベロス、そんなにイジメてはダメよ」
「イジメられてねぇよクソエルフ!!」
アイラ嬢ちゃんも、そこで傷口を抉るような真似をしてはいかんぞ?
「聞き分けの悪い子を見たら言いたくなるでしょ?」
「てめぇら……」
やれやれ、王妃を睨み付けなくなったと思ったら、アイラ嬢ちゃんを睨み付ける様になってしもうたか。
「それでケルベロス、ここは一体何処なのかしら?私にも分かる様に説明してくれないかしら?」
ふむ、エイミー王女は目覚めたばかりで分からんかもしれんが、ここは城の地下牢じゃよ。
「……何でそんな所に?私達は捕まったのかしら?」
いやいや、それは無いのぉ~、もし捕まったとしてもじゃ、ワシらが全力を尽くせば逃走ぐらい容易いモノよ。
「では?」
エイミー王女を襲う様に指示したのが王妃だったんじゃが、その王妃が誘拐犯と密会していた場所が地下牢だったと言う事じゃよ。
「……そう、分かったわ」
ふむ、理解が早くて助かるのぉ~。
それでここから先なんじゃが、エイミー王女、お主なら城の中の事が分かるかのぉ?
「つまり案内を頼みたいと?」
出来ればのぉ、無理ならかまわんが。
「地下牢の存在を知らなかった私に案内が勤まるのかしら?」
それでもじゃ、リーン嬢ちゃんの様に『客』として呼ばれている可能性のある者が泊まりそうな部屋ぐらいは……
「無理ね、私も知らされてない事が多いから」
「けっ、役に立たねぇな」
「あらフェンリル、顔色が変よ?どうかした……あらあらごめんなさい、その変な顔色が元だったわね」
「このクソ王女がぁー!!」
「頭痛でも起こせば、変な顔色が戻るかしら?」
これこれ、二人とも止めい、今はそんな事を言ってる場合では
「ケルベロス、足音多数、誰か来るわ!!」
はぁ……何と言うか……千客万来じゃのぉ~。
今年中に終わらせる予定が……
;´・ω・){まだ続くんじゃよ




