構造構造
ーケルベロスー
ふむ、何やら宿屋の一階がうるさかった様じゃが……はて、何があったんじゃろうな~?
「そんな事はいいから、早く出るわ。この格好じゃ目立ってしょうがないでしょうし」
そうじゃのぉ~、まぁ、一階は一応食堂じゃったらしいから、朝飯時の騒ぎじゃったんじゃろうし。
ところでアイラ嬢ちゃん、何処へ向かえば良いんじゃ?裏口と言う話じゃったが、それはいったい何処なんじゃろうか?
「そうね……ここのお城の構造は分かるかしら?」
ふむ、構造とな?高い尖塔が四つあって、周囲を高い塀で覆われておるって所で、その他は極普通の、何処にでもある城って感じかのぉ~?
「あ~、そういう事じゃなくて、城内へ入る入り口の事よ」
入り口?普通に門があるだけじゃろ?
「その門だけど、東と西の二つがあるの。理由は……エイミー王女、貴女なら知ってるでしょ?」
「(ごそごそ)ええ、知っていますわ(ごそごそ)東を向いているのは、帝国軍に対する備えですわ(ごそごそ)」
あ~王女よ、すまんが袋の中で動き回るのを止めてくれんかのぉ~、少々持ち辛いんでのぉ~。
「そう言われても(ごそごそ)丁度良い位置が見つからないんですわ(ごそごそ)」
「何だよ、丁度良い位置って?」
「まぁフェンリルったら、変態ですわね」
「んだとてめぇ!!」
「今の位置だと、お尻に色々食い込んで痛いんですの、分かるかしら?」
「お……おう……すまん」
お主ら……、それでアイラ嬢ちゃんや、その入り口がどうかしたのかのぉ?
「そうね、東側の門は、帝国軍が攻めて来た際、それを防ぐ為の門になるのよ」
ふむ?その理屈では、逆に危ないのではないのかの?攻められる事が前提なら、それこそ門の位置を変えるべきでは?
「いいえ、そこに門があれば敵の攻撃を『そこ』に導く事が出来るわ。そしてそれは、防御を固める際の指針となるの」
なるほどのぉ~、相手の攻めて来る方向を『わざと』知らせると言う事じゃな。
良く考えてあるのぉ~。
「そうね、この国を作ったと思われる過去の王は素晴らしいと思うわ」
それで、その門の作りがどうしたんじゃ?
「東西の門は、それぞれ正門と呼ばれるの。じゃあ、あの襲撃者達の言った裏口とは何処の事を言うのかって事」
ふむ?東の門が正門で、西の門が裏門……つまり裏口になるんじゃないのかの?
「いいえ違うわ。ここで言う裏口、裏門じゃなくて裏口は、北と南にある小門の事よ。オマケに彼らの言ってた『普段使っている門』は北にあるの」
ふむ、つまり?
「この広い都市をぐるっと回り込んで行かなきゃならないって事よケルベロス」
ふむふむ、それは何と言うか……遠い上に面倒じゃのぉ~。




