空の上空の上
ーケルベロスー
のぉ……ちぃとばかし聞きたいんじゃが……この火竜、何処までついてくるつもりじゃろうな?
ってかこやつ、まさか仲間になる気じゃ……
「おいじじぃ、今は余計な事言うな。実現しそうだ」
「まぁケルベロスったら、何を言ってるの?火竜なんて何処にもいないわ」
フェンリルよ、今のはワシの口が滑っただけじゃよ。
うむ……気をつける様にしよう……
そしてアイラ嬢ちゃん、そろそろ現実に戻って来るべきじゃよ?
「止めてケルベロス、それ以上言わないで!!」
「なぁじじぃ、このエルフは何でこんなに竜を怖がるんだ?何かあったのか?」
ふむ、そうじゃな……しいて言うなら逆じゃ、何も無かったんじゃよ。
「はぁ?何も無いって?じゃあどうして」
うむ、ワシとアイラ嬢ちゃんが旅に出て百年チョイ、直接竜に会ったのは一度も無いんじゃよ。
精々ワイバーンくらいかのぉ~。
何しろアイラ嬢ちゃんは、聖霊に愛されとるからのぉ~。
ドラゴンの様な強い個体には、近付かない様、色々してくれるんじゃよ。
まぁもっとも……それを全てぶっ壊す者が近くにいては役に立たんがのぉ~。
「うっ……なんか……すまん」
まぁ良い、お主の『主』が悪いのであってお主では無いからのぉ~。
そう言えば、肝心の主は何処行った?
「あ?あのバカなら、コイツの口の中だ。反省するまでモグモグされててもらおうと思ってな」
中々えげつない事をするのぉ~。
しかし、大丈夫かのぉ?さすがに窒息するんじゃなかろうかの?
「そこは大丈夫だ、適当に息を吸う様頼んであるからな」
いや……何一つ、大丈夫な所が無いんじゃが?
「そうか?俺的には、不注意で飲み込むんじゃないかとヒヤヒヤしてるんだが?」
そっちも心配じゃのぉ~。
取り敢えず火竜よ、口の中の王女を解放してやってくれんかの?
そんな者でも、飲み込まれれば少し罪悪感に捕らわれるからのぉ~。
「おいじじぃ、そんな事より、あっちの方はいいのかよ?何か固まってる様だが?」
ふむ?おや、アイラ嬢ちゃんが固まっとるのぉ~、はて?何をしたんじゃろうか?
「竜の上……竜の上……私が竜の上?」
ふむ、まだまだ現実逃避中かの?仕方がない、しばらく放置じゃな。
「おいじじぃ、てめぇは鬼かよ?!」
失礼な、ワシはケルベロスじゃよ。
「そう言う意味じゃねぇー!!」




