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西へ西へ

三本目です。

ーシロガネー

「ドナドナド~ナ~ドぉナ~♪」


森の中に響く「ドナドナ」

現在僕は、冒険者さん一行に連れられて、怖い村人の居るトコからどんどん西に向かってます。

ガーンズさん達のチームが拠点にしてる町らしいです。

安全です、文明的です、歌もはかどります、はっかど~るです。


良いね~良いね~歌は良いね~リリン。

歌は人類が作った云々。


「……」

「リーンさん、目付き怖いです、座ってます」


いや、実際、馬車の荷台の上で座ってらっしゃるんですが……


『ゴスン』


ノーモーション?!ノーモーションでメイスの一撃ですか?

鼻先ピンポイント?!

出会って三時間、そこまで能力上がったんですか?


怒ってる理由もアレですか?『リリン』と『リーン』良く似てるから?


でも、有名度では比べてるのも……


「シロガネ君、知ってる?」

「は、はひ?」


思わず声裏返っちゃいましたよ。


「口は災いの元と言うんですよ?」


あらリーンさん、良い笑顔、抱き締めたいなぁぁぁぁガ……それ以上いけない。


ってか、異世界のクセに『諺』あるんですか?びっくりド○キーです。

ハンバーグセット1つ下さい。


「……」


止めて~無表情でメイス振り上げないで~!!


美少女が無表情でメイス振り上げるとか……その趣味の方達ならご褒美モノですよ?

え?僕?


……もちろんノーマルですよ、いやホント。


だから、何故躊躇したのかと……


「……」


リーンさん、何とも言えない顔でメイスを下げてくれました。

よかった、これで殴られない。



ー戦士ガーンズー

「何やってんだか……」


馬車の荷台で、神官リーンとマンティコアのシロガネが、物騒なやり取りをしてやがる。

まぁ、こっちとしてはありがたいのだが……

魔物の中でも、上位種のマンティコアがいれば、下位種のモンスターは現れない。

あれだけ騒がしくしてれば、下位種への威嚇にもなるだろう……多分?


魔の森、さっきの村の連中は、この森をそう称しやがるが……


「たかだか、ゴブリン程度しか出ない森を魔の森とか……」


まぁ、この森近くに住む普通の住人なら、ゴブリンでも驚異だろうが……いや、だからこそマンティコアが現れで大慌てになったのか?


「世の中、もっと凶悪で狂暴な魔物が住む地域もあるのにな……」

「どうしたんです、リーダー?」


横から話し掛けて来たのは、槍使いのロータス、仲間の一人で長槍と短槍、二種類を使いこなす戦士。

ここみたいに、少し開けた場所なら、長槍が活躍出来るが、ちょっとでも入り込めば、槍なんて振り回せない。

だからこその二槍……って、本人は言ってたが……


「二本の槍使ってるのって、カッコイイからですか?」


マンティコア……いや、シロガネの奴、言い切りやがった。


「……」


ロータスのこめかみがピクピクしてる……怒ってるな……当然か。


「ロータス、言いたい事は分かるが我慢しろ……周囲警戒中だ」


空気を読まないシロガネのせいで、俺のパーティーメンバーもギスギスしやがる。


「まぁ、メンバーの裏の顔が見れるんだが」


これ……町に戻った後、パーティー解散とかならん……よな?



ー神官リーンー

「あの~リーンさん、そろそろ縄ほどいてくれませんか?」


マンティコアのシロガネ君がさっきから何か言ってます。

人の気も知らないで……


「はぁ~」


溜め息……そう、溜め息も出ます。

これから、彼を町に連れて行き、中に入れなければならない。


『生かして』


遠い目にもなります……何故、私がそれを考えててやらねばならないのでしょう。

神様、これが試練なんですか?私に対する試練なんですか?


ガーンズさんは


「面倒なら始末しちまうか」


って、物騒な事言いますし……私も、関わりなければそうするんですが……


「リーンさん、次はあれです、16ビートでドナドナ歌いますから」


なに笑顔でこんな事言ってるですか、このマンティコアは?!

あなたの進退が掛かってるんですよ?!


「えっと……シロガネ君?君、これからどうする気ですか?」

「え?もちろん、家に帰ります」


家?家って、あの崖の?


「あの……崖の巣に戻る気なの?」

「はぁ、あんな所でも一応目覚めた場所ですし」


あぁ……やっぱり分かって無いんですね。


「あそこには、もう戻れませんよ」

「え?!」

「むしろ、戻った所を見られれば、別の冒険者が討伐に来ますよ」

「えぇ?!」

「多分、私達よりも上位の冒険者が来ます、君なんか瞬殺です」

「えぇぇ~?!なんで~」


当たり前です。

今回、討伐成功になった筈の場所に、間髪入れずにマンティコアが住み着いたなんてなったら、近隣住民不安になりますよ?

もしかしたら、群れなのかもしれないって。

そしたら大討伐に発展ですよ?居ないと分かっていてもなりますよ?そしたら君、間違い無く狩られますよ?言い訳しても懇願してもダメですよ?

私みたいに、「お腹見せたら攻撃しない」なんてあり得ないんですよ?


「……はぁぁぁぁぁ……」


溜め息つくと幸せ逃げるんでしたっけ?



ーシロガネー

「お前さんには2つの選択がある」


ガーンズさん、いきなり真面目な顔してます。

え、何?何かあったんですか?筋肉マッチョの真面目顔とか、どこに需要があるんですか?


「……死にたいなら止めないが?」


あ、すみませんごめんなさい、僕が間違ってました。

ガーンズさん最高~最強~再起動~。

僕が死なないネタを下さい、お願いします。


「……まぁいい、で、1つ目だが……」

「簡単ですか?楽そうですか?ポイント付きますか?」

「……」


ごめんなさい、続きをどうぞ。


「大陸南部にある獣人国に行く事」


獣人国ですか?それはアレですか?ケモミミですね?男も女もみんなケモミミ?素晴らしい、最高のショーだと思わんかね?


『ズン』

「ぎゃぁぁ~目が~目がぁぁぁぁ~?!」


リーンさん、躊躇無く目潰しですか?危険です、止めて下さい、失明してしまいます。


「回復魔法って万能なのよ?」


リーンさん、笑顔が怖いです、怖過ぎです。


「あっちの国では、お前みたいな共通語をペラペラ喋れるマンティコアなんて、神様扱いしてくれるらしいしな」


ガーンズさん、こっちを見る事無く話続けてらっしゃいます、強い(確信)

ってか、神様?


「モンスターを神様扱いなんですか?」

「そこら辺は俺達人族には分からんな」


あ、そうなんですか?所謂、種族の違いなんでしょうか?

私、気になります。


「ただ問題は……物凄く遠い」

「どのくらい遠いんですか?一月?二月?」


「……」


あ、ガーンズさん黙っちゃいました、これは相当遠い?


「直線でなら一月だな」


ありゃ近いじゃないですか?ん?直線なら?


「ここ聖王国の国境を誰にも見つからずに越えて、隣国トラリアの首都を誰にも見つかる事無く越えて、さらに南にある、ドラゴンが住むと言われる山、竜の巣を越えて、その先にある南の海を越えれば……すぐだな」


すみません、どう聞いても遠いんですがそれ?ってか


「そもそも空飛ぶ前提……ですか?」

「当たり前だろ?」


当たり前ですか、そうですか。


「無理ですゴメンナサイ」


まさか、マンティコアになってジャンピング土下座する事になるとは思いもしませんでした。

ネタの神様、オラにネタをくれ~

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