世界一の冒険家
私は世界一の冒険家。
あらゆる謎を解き、危険な場所へ行って財宝を手に入れるのが私の仕事だ。
ある日、依頼を持った男がやってきた。
その男はとても疲れた顔をしていた。
それも仕方のないことだ。私のような世界一になると依頼の数も尋常ではない量になる。
それを全て受けていては私の方がパンクしてしまうだろう。
そこで、まずは他の冒険家が依頼を受けて、それでも達成できない依頼だけを私は受けるようにしている。
つまり私は一見お断りの冒険家なのだ。こんな事は世界一の信用でもなければ不可能だろう。
自分で言うのは躊躇われるが、冒険家というのは少し胡散臭い商売だからね。
きっとこの男もずいぶんな数の冒険家からたらい回しを受けてここへやってきたんだろう。
その疲れた顔の男が持ってきた依頼は殿様の宝を探してほしいというものだった。
なんでも彼の先祖には殿様がいたらしい。
ある日、彼が蔵の中を整理していると[ここに全てを隠す]と書かれた地図が見つかったそうだ。
その地図に書かれた宝の場所は暗号になっていて、どの冒険者も首をひねるばかり。
一人も解くことができなかったそうだ。
しかし、この程度の暗号は私にかかれば赤子の手をひねるようなものさ。
まぁ確かに、暗号の場所があんな所だったとは。まさに灯台下暗しだったのは否定しないがね。
こうしてついに見つけた宝の部屋へ入ってみると、そこには金銀財宝がどっさりとあった。
この瞬間こそが冒険家の醍醐味というやつだね。
しかし、その財宝に私が手を伸ばそうとすると、突然まとわりつくような嫌な気配が立ち込め始め、全てを恨むようなこの世のものとは思えないうめき声が聞こえてきたんだ。
あとで聞いた話なんだが、男の先祖である殿様というのがずいぶんと酷い裏切りにあい死んでいたんだ。
そんな殿様がいつか復讐を果たすためにと死ぬ直前に隠した財産というのが、私が今回見つけた宝だったんだよ。
そうなんだ。[ここに全てを隠す]という言葉は財産のことだけを言ってるのではなく、
恨みや呪いも含めて、そのままここに封じ込めるという意味だったんだ。
これにはさすがの私も気が付かなかったよ。
…ところで随分たらい回しにされたと思うんだが、
そろそろ世界一の霊能者を紹介してもらえないだろうか。




