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インタビュー

作者: 英星

 とある田舎におばあちゃんがいました。


 おばあちゃんは辛い戦中戦後を乗り切り、豊かで幸せな人生を送っていました。

 2年前に連れ添いを看取りましたが、たくさんの子供や孫たちが寂しさを和らげてくれました。


 あんなに素敵な人と同じお墓に入って永遠を過ごせるのだから。

 そう思うこともできました。


 おばあちゃんは自分が本当に運がいいことを実感していました。

 良質な出会いが、おばあちゃんの運命をここまで導いてくれました。


 なんの取り柄もない自分がこうして平穏な毎日を過ごせている。

 それだけで充分でした。

 その日を生きるのに必死だった若い頃には、将来にこんな充実した日々を送れるとは思っていませんでした。


 あとはおばあちゃん自身が穏やかな死を迎えるだけでした。


 戦火を逃げ惑っていた時とは違って、もう怖くはありません。

 この人生において、自分の役目が少しずつ終わりに近づいていることも感じていました。

 それがいつでもいいとおばあちゃんは思っていましたが、ひとつ気がかりなこともありました。


 自分を支え、助けてくれた人たちに感謝の言葉を伝えること。


 今まで、物事は終わっては始まるの繰り返しでした。


 おばあちゃんは本を書き始めました。

 たくさんの人にありがとうを伝えるために。


 数年後、その努力が実り、ある出版社が主催するコンテストで大賞を受賞しました。

 ICレコーダーの置かれた文芸雑誌の取材で、記者がおばあちゃんに訊ねました。


「あなたはこれから何がしたいですか?」


 おばあちゃんは笑ってこう答えました。


「英語を勉強して、外国の方とお話がしたいです」


 おばあちゃんの笑った顔は雑誌の表紙になっていました。


完成日不詳


2016年1月18日 追記

あーけーまーしーてー…………おめでとうございます!

今年も素敵な一年にしていきまっしょい。


   高齢化社会という言葉が苦手な英星

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