世界を救うたびに失敗して逆行したんだがなんか違う・・・
ここのところ頭に浮かんでいたネタを書き連ねてみた。途中少しグロいかもしれません。
何がいけなかったかといえば全てがいけなかったんだろうって思う。
彼女が召喚されてきて、浄化の勤めのために交流しなくちゃいけないとおもって近づいた。
何度か交流してやさしい面や脆い面、意外と真の通った性格に触れるうちにいつの間にか惹かれていた。
はじめは気にしていなかった幼馴染とか言う男のことがだんだん気に入らなくなって、同じ守り人の奴らも惹かれ始めているってわかってからは余計に必死になって近づく奴らを威嚇して。影で腹黒策士なんて言われていたのが嘘のように愚かな男に成り下がっていた。
連携を取らなくちゃいけない守り人の奴らとの仲は最悪、聖女である彼女にも他の奴らと仲良くするな、俺から離れるなと威嚇して脅して困らせた。他の奴らも同じような状態だったみたいだから本当に負担も大きかっただろう。
俺は『守り人』なのに――
数百年に一度、この世界は生まれ変わる。
天変地異で全滅からの創世ってことではない、神が弱り不浄に汚れた身体を脱ぎ捨て新たな存在として生まれ変わる――らしい。朱雀は数十年に一度生まれ変わるがそのでっかいバージョンと考えたらいいようだ。
ただし勝手に生まれ変わる朱雀と違って厄介なことが2つある。
ひとつは生まれ変わる最中、神の悪しきかけらである『荒御魂』が地上を駆け巡ること。
もうひとつは神のかけらである『荒御魂』を鎮めることは神の作品である『望月の民』には出来ないこと。
そこで神は自身のかけらを自身の影響下にない『別世界の人間』にしてもらうことにした。それが『聖女』だ。そして『望月の民』にはそれを手助けできるよう神のかけらの『守護』を授けた。それが『四神』であり、四神の力を強く発揮できる血族はそれぞれの四神の名を冠した氏族を名乗り、その中でも力の強いものを聖女を助ける『守り人』とした。俺はその中で『玄武の守り人』になった。
初めは役目を果たすことだけを考えていたはずだ、なのにいつの間にか欲に溺れてた。
言い訳するなら荒御魂に影響されたせいだって言える。でもその荒御魂を鎮めるための『守り人』と『聖女』なわけで・・・完全な修行不足だった。後悔すればきりがない、でももう後悔しても遅い。
―――――『聖女』は死んだ。
俺達がもめ続けたせいで弱りきり、彼女が守護を施していた幼馴染に殺された。
彼女の幼馴染は召喚に巻き込まれてこの世界に来たため荒御魂に対して耐性がなく、彼女が守りの守護を施さないと簡単に操られてしまう存在だったのに。俺達はそんな重要な事さえも忘れきって争っていた。
『聖女』が召喚されるのは神が生まれ変わりを始める前の一度だけだ。彼女が死んだ以上もはや今回の生まれ変わりで『聖女』は存在しない。そして神が完全に生まれ変わり荒御魂の浄化が行われる頃には『望月の民』はもう・・・。
絶望が身体を駆け巡る、いやそれすらもすぐに感じなくなるだろう。
すでに他の『守り人』は死んでいる。俺も腹にナイフを刺されて内蔵はズタズタだ。かわりに彼女を殺した幼馴染野郎を相打ちで殺したが。ははっ、『聖女』がいなければ『守り人』4人でようやく荒御魂の操り人形一人か、割に合わねぇよな。
ああ、もう目の前が暗く―――
「何かってに死のうをしているのです?自分たちの愚かさで浄化に失敗したのですからきっちり責任取って世界を救いなさい」
「・・・その声は・・・き・・おん・・か・・・?」
「ええ、そうですよ?あなたの元婚約者で神である**様に使えている『巫女』の黄苑です」
「せきにん・・・とれっ・・て・・俺はもう・・・死ぬぜ?」
「ですがまだ死んでません、ほかがもう使えないのですからあなたが責任とってください」
「せき・・にん」
――――どうやって?
「簡単です、『時紬』の術を使います。まあ四神のかけら全てと私の命が代償ですがこのままならどのみち死ぬのですから考慮する必要もないでしょう」
「死・・・?お前が・・・?まっ」
「御託はこれ以上いりません。とっとと戻って責任持って歴史を変えなさい」
そのまま真っ暗だったはずの俺の視界が金色に染まり――――気づけばベットの上で寝転んでいた。
「(ゆめ?)」
取りあえず現状を確認しようと起き上がろうとして異変に気づく。いや異変なんてもんじゃない、だって小さい。視界に映る手のひらはぷにぷにしているし、まず起き上がれない。
そう、俺は赤ん坊にまで戻っていた。
「おんぎゃー!!!(なんじゃこりゃー!!!!?)」
逆行一日目、まさかの人生振り出しに戻る。
正統派乙女ゲームを書こうと思ったのに何故にこうなったのかわからない。
A.作者がひねくれているからです。