自己紹介のはずなんだが…
白石白眉、現在美原家の玄関前。
今日から、この美原家に嫁ぐことになりました。
嘘です。まあ、居候ってやつですね。
なぜ居候することになったのかと言うと、両親は長期海外出張、妹は全寮制の女子高に入ってしまったので流石に一人では心配だと言うことで母が一番信頼する友達のところに送りつけられたと言うことである。
そのせいで、高校を自主退学し転校する羽目になってしまった。
元の高校には未練もクソもないので、別に良かった。
そんなこんなでここに来てしまったのである。 まあ、 さっさと入りましょう。
ピンポーン
「はーい、 白石君ね、 今から開けますねー 」
この声は多分、 母の友人である美原香織という人の声であろう。
美原家は母と父それと子供が二人いたはず。
なお、その二人は女の子らしい。
その二人は女の子らしい。
なんかもうね、きゃっきゃうふふですよ。好きですっ///とか言われたら俺みたいな女子免疫ない男子はイチコロですよ。
「あっ、白石君いらっしゃーい」
髪の長さはそんなに長くなく、すらっとしていてアラフォー手前だとは思わせない美貌。だが、ラフな格好をしているためか少し主婦を連想させる。
人妻……グフフ。
「さあ、上がって上がって! 」
「すいません、お邪魔します」
「もうお昼だし、ささっと自己紹介してお昼ご飯だべましょ! 」
自己紹介かぁー、何か緊張するなぁ。
玄関から直進し、リビングのドアを開ける。そのには男一人、女二人。
そして、こちらをさっと向く。なんかこれは学校に遅刻して来たときの感覚に似ている。なんかイヤだよねあの感じ。
「 君が白石君か、今日からよろしく、じゃあ、早くみんなと打ち解けるために自己紹介でもしようか」
この人は美原家のお父さんか。いかにも三十代の働き盛りといった感じだ。
「 それじゃ、白石君からで」
一気に視線が集まる。とりあえず名前と年齢だけでも言っとくか。
「 えーと、白石白眉17歳です」
「 はいはーい! 質問タイムはありですか? お母さん 」
威勢よく手をあげたのは、姉と思われる人物。腰までの長さのある髪の毛は何処か清楚といった感じがするが、清楚感と背反する威勢のいい声はギャップが効いててなかなかいい。
これがギャップ萌えか。
「まあ、いいでしょう」
「じゃあー、好きなプレイはなんですか? 」
「しb……、えっ? 」
「えっ? 」
こんな清楚で美人な人がそんなこというわけないですよね、うん言わないよね。
「もう一回、言ってもらえませんかね…」
「だから、好きなプレイはなんですか?」
え、えーと俺はどうすればいいのかな?
「美優、もっとソフトなところからついていくのよ! 」
ついていく…突く…
いけない想像しちゃったゾ☆
それは置いといて
この変態がえーと…とかいってる間に打開策を考えねば。
「お姉ちゃん、普通に自己紹介しようよ」
……こ、これは天使か⁉︎
この子は多分、妹だろう。ショートヘアに小柄な体型がいかにも妹という感じを漂わせる。小柄ですよ、まな板とはいってないですよ。
「じゃあ、私からね。美原凛よ。さっきのはあなたのためにいったんじゃないからね」
…こ、これは近年稀に見るツンデレか!ツンデレっていいですよね。ほんとに。なんかもう男のロマンが詰まってる感じ。男はたった一瞬のデレでも、頑張れるのです。
「じゃあ、次は私ね。美原美優。18歳。好きなプレイは」
「言わなくていいです」
「ショボーン…」
不覚、少し可愛いと思ってしまった。
「私は美原香織。白石君のお母さんの親友よ。これからよろしくね。それと、私ちょっとSだけど気にしないでね」
最後の言葉が気になる…
意味深すぎるだろうーが、まともな人間はここにはいないのか?
「僕は美原智。これからよろしく」
唯一まともな人である。この人だけは頼れそう。
「あら、お父さん何か忘れてるわよ」
突拍子もなく発言された言葉に、美原智の額に走る一筋の汗。
「えっ、そんなことないよ香織」
「おい、言えよこの豚やろーが」
言葉と表情のギャップがありすぎて戸惑う。
「す、すいません。ほ、本当はMなんです。許して下さい! 反省するのでもう一回罵ってもらえないでしょうか⁉︎ 」
訂正、まともなドM。なにそれ全然まともじゃない。
「それが人にお願いする態度ですか?そのように調教した覚えはないんですが…」
顔には満面の笑みをしながら吐き出される暴言。それを頭を地につけハァハァいいながら受け止めるアラフォー手前の男性。
なんだこの構図は……
「これからよろしくね! 」
「お、おう」
俺はここでちゃんと生きていけるだろうか?
好きですスラッシュスラッシュスラッシュ