表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

黎明の誓い 番外編

作者:

黎明の誓い ヴァリオンのお父さんのお話です。

興味があれば読んでみて下さい

しんしんと雪が降り積もるフロストルの街並み。

屋根の上や石畳の道には、真っ白な雪が厚く覆い、空気は凛と冷えていた。

吹きすさぶ風が窓を打ち、街角の人々は肩をすくめながら急ぎ足で家路を目指す。


「ねえ、聞いた?あの暴君のディオンが、このフロストルに来てるらしいよ」

「えっ…!? あの、ディオン!? 本当に…?」

「うん、どうやら偶然立ち寄っただけらしいけど、腕前を拝見したいね」


道行く人々の間で、ざわめきが広がる。

『暴君』――その名を聞いただけで、皆の目には期待と畏怖が混ざった色が宿る。


ガツガツガツガツ――

町の食堂では、皿やお椀が次々と山積みにされていく。

そこには、剣を肩に掛けた一人の騎士が、まるで戦場の如く無我夢中で食を進めていた。


「んんっ…! これも、あれも…!」

肉を頬張るたびに、目を輝かせ、汗をぬぐいながらさらに次の一皿を手に取る。


通りかかった客たちは、思わず目を丸くする。

「え…あの騎士、あの暴君ディオン様じゃないのか…!?」


噂は本当だったのだ――強くて頼れる騎士が、町の食堂で豪快に食べまくる姿を、誰もが見逃すまいとしていた。


「ごちそうさん!!美味かった」

ディオンは満足そうに言うと、ポンと大金を出し、釣りはいらないと店員に告げた。


「ありがとうございます、ディオン様!」

店員が深く頭を下げる。


ディオンは軽く手を振り、にこやかに店を後にした。


口元に微笑を浮かべ、堂々とした立ち振る舞いで、ディオンは町を闊歩した。


「寒いけど、いい町だ……」

ディオンは静かに平和を噛み締めた。


――しかし、平和は長くは続かない。

好戦的な目を光らせ、剣を抜く。


目の前には、盗賊の集団が待ち構えていた。

「嗅ぎつかれたか……」

ディオンはニヤリと笑う。


盗賊たちが剣を振り上げ襲いかかる。


ディオンは笑みを浮かべ、剣を振るう。


ザシュッッ!ザシュッッ!

斬撃が空気を切る音が響き渡る。


一閃。

肩越しに飛びかかってきた敵を、軽く受け流しつつ地面に叩きつける。


次々と現れる敵も、ディオンの剣の前に次第に数を減らしていく。


ガキィッ!ガキィッ!ガキィッ!


無造作に斬り伏せ、武器諸共跳ね返される敵の影。


「これで終わりか?」

ディオンの目は鋭く、戦場の中心に立つその姿は圧倒的だった。


ディオンは凄みの利いた笑みを浮かべ、鋭く切っ先を残党たちに向けた。


「クソ…!」

残党たちは慌てふためき、バラバラと雪の上を逃げ惑う。

ディオンは軽く剣を振るだけで、追いすがる者をいなすように見下ろし、剣を鞘に納めた。


「すごい――」と町の人々から拍手が湧き上がる。

ディオンはその拍手に応えるように、にこやかに「ははは!」と笑った。


ディオンは高くそびえる雪山を見上げ、険しい表情を浮かべた。

「黎明の山に向かうつもりか…?」

「あんたは...?」

「俺はセラフィムと言う...ここでヒーラーをしている」

セラフィムが、真剣な眼差しで問いかける。


「ああ……ちょっとな」

ディオンは雪山を睨み、肩をすくめる。

「止めはしないが...やめた方がいい……俺はここで黎明の誓いで失敗した者の治癒をしている」

セラフィムは本気で心配している。


「なあに……俺が誓いを立てようってんじゃないさ」

ディオンは肩をすくめ、淡い笑みを浮かべる。

「これから何かが起きる……だから、見てな」


その言葉には、遊び心と同時に、何か重大な事態を予感させる重みがあった。

セラフィムは眉をひそめ、しかしそれ以上は言えずに雪山を見つめる。


ディオンの言った通り、黎明の山から轟音が唸りを上げ、何かが姿を現そうとしていた。

「ほら、見ろ……お出ましだ!!」ディオンは胸を張り、目を輝かせて叫ぶ。


その声に、セラフィムは目を見開いた。

「何事だ!? どうして君にそんなことが分かる!?」


雪山の風が荒れ狂い、空気が張り詰める。

その背後で、ディオンはわずかに笑みを浮かべ、何かを楽しむかのように剣を握りしめた。


ディオンはニヤッと笑い、無言のまま黎明の山へと一目散に駆け出した。

常人離れした足取りで、雪を蹴散らし、風を切って進む。


「何者なんだ……あいつは……」

セラフィムは目を見張り、ただ立ち尽くすしかなかった。


遠くで山が震え、轟音が響く。

闇の中から、不気味にうねる影が現れようとしていた。


ディオンは振り返り、影の方を一瞥する。

「……来いよ、相手が誰だろうと、俺は倒すだけさ」


その声に、雪風が巻き上がる。


黎明の山の麓、誓いを立てていた者たちは、轟音と共に現れた異形の気配に腰を抜かしていた。

「な…なんだ、これは…!」震え声があちこちで漏れる。


その中の一人が、不気味な笑い声をあげる。

「よみがえれ……悪魔よ!!」


影がうねり、黒い霧が立ち上がる。

その瞬間、山の裂け目から異形の魔物が姿を現した。

巨体を揺らし、牙を剥き出しにして、空気を切り裂くように吠える。


ディオンはニヤリと笑った。

「なるほど……そう来たか」

剣を握り直し、風を切って駆け出す。


「行くぜ……一網打尽にしてやる!」


その足取りはまるで雪原を滑るように速く、異形の魔物との距離を瞬く間に詰めた。


ディオンの目の前、悪魔のような魔物が不気味に笑うと、地面に爪を立てた。

「なんだ……?」ディオンが瞬間的に踏みとどまる間もなく、魔物の手元で光が走る。


一瞬で、完璧な魔法陣が地面に描かれた――!

円形の符号が輝き、闇の中に炎の色を帯びた線がうねる。


「魔法陣を、一瞬で!?」ディオンは唸った。

その直後、魔法陣の中心から火柱が噴き上がり、周囲の雪と岩が吹き飛ぶ。

炎の熱がディオンの頬を撫で、鋭い風が吹き荒れた。


しかし、ディオンは笑った。

「面白くなってきやがったな……!」


炎を避けながら、無駄のない一閃で魔物の腕を斬りつける。

「ぐぁっ!?」魔物の咆哮が山々にこだまする。

だが、魔法陣は再び瞬間的に輝き、炎の嵐が押し寄せる。


周囲は火の粉と煙に包まれ、ディオンと魔物だけが光と影の中でぶつかり合う――。


ディオンは目を細め、鋭く息を吸い込む。

「よし……回転斬り、行くぜ!」


剣を握り直すと、身体を一回転させながら、刃先が光を帯びる。

「シュッ――バッサァァッ!」


炎を巻き上げる魔物の群れの中、剣が火花を散らし、回転する軌跡がまるで光の渦となって魔物を斬り裂いていく。

一閃ごとに「ガキィッ!」「ギャアッ!」と悲鳴が響く。


魔物が魔法陣を再構築しようと手を動かす瞬間も、ディオンの動きは止まらない。

「回転斬り二連――!」


風を巻き上げながら再び旋回し、魔法陣の中心で炎を操る魔物の腕に一撃を入れる。

火柱が炸裂し、魔物は吹き飛ばされ、雪と岩が崩れる。


「ふっ……これでどうだ!」ディオンの鋭い笑みが、山の荒野に凛とした光を放つ。


だが悪魔の魔物は、ガラガラと砂塵を巻き上げるように姿を現した。

巨大な角、ねじれた翼、裂けた口から黒い炎を吐くその姿に、思わず息を呑むディオン。

「へ……っ。とんでもねえ化け物生み出してくれやがってよ……」


だがディオンの瞳は鋭く光り、笑みを浮かべたまま剣を構える。


ディオンの斬撃で腕が吹き飛んだかと思った悪魔魔物。

だが、黒煙が渦を巻き、血のような光の筋が絡み合うと、切断された腕がゆっくりと元通りに再生していく。


「な、なんだと……再生もあるのか!!!」

思わず声を上げるディオンの瞳に、驚きと興奮が入り混じる。


悪魔魔物は重く唸り、巨大な爪を振り上げる。

「面白ぇ…!」とディオンは笑い、身をひるがえして連続斬りに挑む。

「この程度じゃ……止められねぇぜ!!」


ディオンは肩で風を切るように構え、刀を高く掲げる。

「行くぞ……一閃!!!」


振り下ろされた斬撃は光の刃となり、悪魔魔物の触手を一刀両断。

真っ二つになった触手からは煙と火花が立ち上る。


「くっ……!!」魔物は驚愕と痛みでうめくが、黒い煙が絡み合い、再生を始める。


悪魔魔物が再生した瞬間、ディオンの目が鋭く光る。

「来い……一閃!!!」


再生された触手や腕が立ち上がる前に、ディオンは光の軌跡を描く回転斬りで真っ二つに斬り裂く。

「うおおおおぉっ!!」


連続で現れる再生をも、ディオンの斬撃が次々に打ち破る。

その剣さばきはまるで風のように滑らかで、魔物の形態を問わず、無慈悲に切り刻んでいく。


「ギエエエエ……」

悪魔魔物は断末魔の叫びとともに崩れ落ち、黒煙だけが空に舞った。


誓いの発端者が膝をつき、涙を流しながら言った。

「くっ…私の…私の作品がああ……おのれディオンめ!!」


ディオンはにやりと笑い、軽く剣を振りかざす。

「フッ…泣くなよ。次はもっと可愛いものを作りやがれ」

「くそ……!!次は必ずや!」

とどこかへ消えてしまう。


戦いが一段落すると、ディオンは深く息をつき、傷ついた3人を軽々と抱え上げた。

「よし、頼んだぞ…セラフィム。面倒は任せた」


セラフィムは少し驚きながらも、しっかりと受け止める。

「わ、わかりました…!」


セラフィムは雪を踏みしめるディオンを見つめ、声を震わせて問いかけた。

「…なんのために、あなたは戦っているのですか…?」


ディオンは一瞬振り返り、目を細めて微笑む。

「戦う理由か?…それは…楽しむためだ。

目の前の混沌を切り裂く快感、そして、守るべきものを守るための力を示すためさ」


その言葉に、セラフィムは少し息を飲む。

強さだけではなく、信念が混ざった笑み。

彼の背中に宿る覚悟を、その瞬間、理解したかのようだった。


ディオンは無言でうなずき、吹きすさぶ雪の中を軽やかに歩き去る。

振り返ることもなく、彼の背中には揺るがぬ決意が感じられた。

いかがでしたでしょうか?

ヴァリオンのお父様のお話です。

ヴァリオンとは性格が全く違うみたいですね。

良かったら本編の黎明の誓いも読んでみてください、

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ