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待ちぼうけ
不幸せな歌を歌いながら
一番幸せだった頃を思い出す
涙の代わりにため息が出たのは必然
僕はもう随分前から
幸せじゃないのかもしれない
もらえるものだと思っていたから
両手を広げて待ちぼうけ
その手で手繰り寄せて抱きしめていたら
それが大切なものだと知ることが出来たのかな
気づいた時には過ぎ去っている
見逃している
僕はいつだって
鈍臭くて
顔を上げて見なくちゃいけないのに
目を伏せて俯いて
何がしたいんだろうね
それでも
誰かが
いつか誰かがと
この両手を広げることを辞められずに
ここでこうして
佇んでいる
寂しさに負けて自分の体を抱きしめてみても
震える肩に気づくだけ
こんな僕に
暖かい幸せを、どうか、どうか。