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36話 龍人

 アリスに引っ張られ、気が付けばさっきとはまた違う城の前に立っていた。


「たのもー!」


「あ、アリスフォード様!?」


 怒鳴り込みに反応して出てきた兵士達が驚く。注意しようと思って出てきたら行方不明になっていたアリスが居るわけだしそりゃ驚くだろう。


「ファフニールを出せ!」


「ちょちょちょっといくらアリスフォード様でも流石に……」


 城の中へと無理やり入ろうとするアリスを兵士たちが抑えようとするも、止められるはずもない。俺もアリスの横で頭を下げながらもちゃっかり入城する。


 そして兵士たちを引き摺りながらアリスが城の扉を開けようとした時、頭上で俺の感知スキルに何かが引っ掛かり、アリスの体をぐいっと後ろへと引っ張る。


 すると、先程までアリスが立っていた場所に灼熱の炎に包まれた赤い槍が突き刺さる。


「ヒ、ヒィ!?」


 兵士たちは可哀想に避けるのが間に合わなかったようで真横に落ちた槍に体をのけ反らせている。


 ていうかいきなり他人に槍を投げてくるなんてどういう根性してるんだ?


「おい、ファフニール。危ないではないか」


 アリスが上空に向かってそう言う。俺もそちらを見るとそこには後ろからドラゴンのような尻尾が生えた魔族が浮かんでいた。


 ===================

 名前:ファフニール

 種族名:魔族

 称号:龍人の長

 レベル:1000

 スキル一覧

 ユニークスキル:『龍化』『槍聖』

 常時発動スキル:『身体強化Ⅴ』『魔法強化Ⅳ』『魔法防御Ⅴ』『物理防御Ⅴ』『状態異常無効』

 魔法スキル:『全属性魔法lv.5』『岩魔法』

 特殊スキル:『剛力』『飛翔』『見切り』

 ===================



 こいつがファフニールか。というかやけにレベルも低いしスキルの数も少ないな。もしかしてこれが普通なのか?


「ただ襲われたから反撃しただけだ。なんか文句あっか?」


「妾に喧嘩でも売っておるのか?」


 バチバチと両者の間に火花が飛び散る。めちゃくちゃ仲悪いなこいつら。


 兵士たちも二人の諍いを止められないのかその光景に腰を抜かしてしまっている。


 このままじゃ埒があかないな。


「アリス。一度ここに来た目的を思い出せ」


「覚えておる。殴り込みじゃ」


 あー、そういやそうだった。俺とした事が。


「じゃなくて何で殴り込みに来たのか話さないとあいつも分からんだろ。取り敢えずは説明からするべきだ」


「ふむ、それもそうじゃな。ファフニール、魔王即位について話がある」


「ああ? 魔王にはもう俺がなったんだ。今更ノコノコやってきたお前なんかに譲るかよ」


「譲れなどと言うつもりはない。譲るのではなく魔王の座をかけて妾と戦えと言いたいのだ」


「へえ……」


 アリスの提案にファフニールはそう溢すと、挑戦的な笑みを浮かべ始める。


「聞いてないのか? お前達じゃ逆立ちしても届かねぇレベルに俺が居るって事を。てっきりその事を知ってねだりにきたのかと思ったがな。そうかそうか」


 そう言うと満足気に頷く。どうやらお気に召したようだ。


「それならば良かろう。努力じゃ追いつけねー生物としての格の差ってのをお前に教えてやるよ」


「あー、そういえば言ってなかったな。魔王は妾だけじゃないぞ」


「は?」


 その時、背中をトンと押される感触がする。まあ、魔王の話をしてんだからそれゃあこの話はするわな。


「ここにいるライトも魔王じゃ」


「……ふざけてんのかてめえ」


 その瞬間、場を包み込む空気が凍りついたかのように緊張が走る。俺の事はお気に召さなかったらしい。


「こんなポッと出の奴が魔王だぁ!? それで何だ? お前はこいつの召使いか何かにでもなんのかよ!?」


「何を言っておる。妾も魔王じゃ」


「へ? 意味わかんねーよ。魔王はたった一人。最強な奴だけだ! 二人なんか聞いたこともねえ!」


「聞いた事がないのは仕方がない。妾達が初めてであるからな」


「……ホント行方不明になってとち狂ったんじゃねえか? アリスフォード。まあ良い。どうなろうが知ったことねえ」


 そう言うとファフニールは声を荒らげて言う。


「俺がてめえら二人を倒しゃあ終いだ! 魔王は二人だとか言う腑抜けた奴に負けるわけがねえ!」


「ほう、腑抜けておるのはどちらか見せてやろう」


 闘志に満ちた視線が交差する。そして俺だけ温度感があまりにも違うことで少し肩身の狭い思いをするのであった。

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