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30話 最後の戦い

 身を引き裂かんばかりの痛み。こんなものはここに落ちてから何度も味わってきた。しかし、レベル9999になってからは初めてのことだ。レベルがカンストすればその分、受けるダメージも減っていくからである。つまりこのダンジョンで受けたダメージの中で最も強い一撃が今の攻撃だという事だ。


 即死級じゃなかっただけありがたいな。立ち上がれない程のやられ具合であったとしてもこのスキルさえあれば俺は何度でも蘇る。


「パーフェクトヒール」


 癒しの光が俺の身体をやさしく包み込み、回復していく。


「一撃でこの威力ってどんだけ出鱈目なんだよ」


 目の前に居るのは先程までの初代魔王の姿ではない。背中からは二対の翼が生え、身体は先程までの身体よりも5倍くらいに膨れ上がっている。これが本気の姿という事だろう。


『それほどの怪我を負って立ち上がれる君の方が出鱈目だと思うがね』


「パーフェクトヒールのお陰だ。俺が強いわけじゃない」


 ただのパンチが魔王カイザーの王の息吹と同じくらいの威力がある時点でどちらがぶっ壊れなのかは言うまでもなく初代魔王の方だろう。パーフェクトヒールは何度も使えるとはいえ、徐々に精神が削られていく。それに体が無傷であろうとも体への負担は増えていくのだ。無敵なわけではない。


『まあ良い。生きているのであれば続けよう。暗黒世界』


 そう呟いた瞬間、荘厳なる神殿が一気に漆黒の闇に塗りつぶされていく。またこれか。そう思った時には目の前が漆黒に包まれていた。


超常爆発(ビッグバン)


 それは時が止まるほどの次元を超える威力を放つ。すべての生命体を吸収し一気に吐き出すことによって生み出される人知を超えた超次元爆発である。


 ダンジョンそのものを破壊する勢いで放たれたそれは俺の身体を飲み込もうとする。咄嗟に俺はアルムにはめている宝玉を魔王シリーズ『魔王ディアンヌ・ドーズの宝玉』へと交換する。



 ===================

 アルム名:魔王ディアンヌ・ドーズの剣

 等級:終焉級

 ユニークスキル:『王の守り』

 常時発動スキル:『身体強化Ⅴ』『魔法無効』『物理防御EX』『魔法強化Ⅴ』『状態異常無効』

 魔法スキル:『防御魔法lv.EX』

 特殊スキル:『バリア』『超剛力』『結界』


 魔王ディアンヌ・ドーズの宝玉による祝福を受けた剣。効果を一つ選び、剣の持ち主または持ち主が認めた他者へと付与することができる。ただしその場合、他の効果は消失し宝玉は壊れてしまう。

 ===================



「王の守り!」


 スキル『バリア』のまさに超上位互換。一切の攻撃を拒む紫色の障壁が俺の身体全体を包み込んでいく。すべてを蹂躙する超次元的な爆発とすべての攻撃を止める堅牢な守り。


 ギィィンッと両者のせめぎ合う音がガツンと頭に響く。かくして俺の身体ははるか遠くへと放り出される結果となる。


「……なんとか王の守り自体は破られなかったか」


 そのおかげで何とか即死を免れた。しかしかなり吹き飛ばされたのに未だ限界へと到達しないこの空間は一体どこなんだ? 神殿の外には途方もなく広い空間が広がっており、吹き飛ばされた俺の身体はそこで浮かんでいた。


 俺はアルムにセットされている魔王ディアンヌ・ドーズの宝玉を外し、再度魔王カイザーの宝玉を取り付け、スキル『飛翔』を使って宙に浮かぶ。遠くの方には漆黒の世界で覆いつくされた神殿のような物が見え、その中には初代魔王ベルゼ・イゴールの姿が見える。


 さっきの攻撃があると考えればうかつに近寄れないな。王の守りなら防げはするがいつまでもそんなに反射的に宝玉を取り替えれるかというと無理な話だ。かといってバリアや反射も一定の力以内でなければ防ぐことは不可能。


 今、奴に通用する可能性があるものは、『貫通』『獄炎』『氷獄』『感知』『超剛力』それから『魔王シリーズ』の宝玉である。この数少ない選択肢からたったいま魔王カイザーの宝玉を選び出したのには飛翔が使えるからという理由以外にもう一つある。それは局所的な力で言えば魔王シリーズの中で最強だからだ。


 魔王ソルの宝玉も強力ではあるが、あれはあくまで広範囲用の力。一点集中型の魔王カイザーには敵に当たった時の殺傷能力は劣る。


 そして何よりも。いつだって闇を照らすのは光だけだ。


「うおおおおお!!!!」


 俺は金色の光を身に纏うと暗黒に染まった世界へと突っ込んでいく。四方八方から襲い来る本来斬ることは不可能な暗黒も魔王カイザーの光であれば斬ることができる。そうしてすべてを切り刻みながら初代魔王へと近づいてゆく。


「俺はさっさとこのダンジョンから出たいんだよ!」


 そう叫びながら一心不乱に剣を振り回していく。感知を駆使しながら貫通スキルを使って初代魔王の全身を斬りつけていく。


『む、速いな』


「まだまだ!」


 光魔法で加速した俺の身体をもはや魔王は捉えることが出来ない。そうして俺の思い浮かべるすべての箇所を斬りつけた後、初代魔王のその心臓部にあたる場所へと剣を突き立てる。


「五芒星!」


『なっ!? まさか』


 その瞬間、初代魔王につけられた切り傷が金色の光で結ばれていく。やがて星の形となった光はさらに輝きを増してその威力を増していく。


 刹那、初代魔王によって作り出された暗黒世界の全てが消し飛ぶほどの光の爆発が巻き起こる。そうして、それに追い打ちをかけるようにして俺はボロボロになった初代魔王に向けて剣を向ける。


「王の息吹!」


『カハッ』


 すべての力が集約された金色の光芒が初代魔王の心臓部に突き刺さる。そしてその光はそこから初代魔王を引き裂かんとして徐々に拡大していく。


 そうして一片も残ることなく、初代魔王はその身を焼き尽くされるのであった。


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