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畠山重忠の乱が勃発した際、何故に政子や縁戚の御家人が動かなかったのか

 この当時の坂東武者は親兄弟でも殺し合うのが当然、と言われそうですが、それでも、モヤっとします。

 畠山重忠の最期ですが、いわゆる「畠山重忠の乱」で、ほぼ族滅という悲運に遭った末ということになります。

 ですが、この「畠山重忠の乱」ですが、細かく検討する程、首を捻る点が多々でる話になります。


 一般的な「吾妻鏡」の記載を根拠とする通説によれば、北条時政と後妻の牧の方の間の一人息子の政範が1204年11月5日に病から京で頓死します。

 更に同年同月4日に畠山重忠の長男の畠山重保と、北条時政と後妻の牧の方の間の娘婿になる平賀朝雅が京で口論をするという事態が起きます。


(尚、この口論に北条政範が巻き込まれて畠山重保に殺されたという説もあるようですが、それ以前から政範は病に罹っていたとされてることや、それが真実ならば重保を悪者にするために吾妻鏡に書かない訳が無い、と私は考えることから、否定的に考えます。

 更にこの時に京に時政もいたことが、当時の神祇伯の仲資王の日記「仲資王記」から判明するので、尚更に政範が殺されたということを、私は否定的に考えざるを得ません。

 もし、本当に政範が殺されていたならば、即座に時政はそれを理由に重保を殺し、畠山重忠らを攻撃していたでしょう)


 そして、翌年6月21日に、牧の方は北条時政に対して畠山重忠に対する讒言を行い、北条時政はその言葉を信じて、息子の北条義時や時房に畠山重忠を討つように命じます。

 義時や時房は、時政の命令を一旦は拒みますが、牧の方の兄弟の大岡時親からの難詰もあり、結局は畠山重忠を二人は討つことにします。

 更に、鎌倉にいた御家人の面々に時政は実朝を介して動員令を下し、御家人の面々は実朝の命令に応じて、畠山一族を討つことになった。

 と吾妻鏡には記されているそうです。


 この流れ自体に、色々とツッコミどころ満載の気が、私はしますが。

 この際に特に取り上げたいのが、人望が厚い筈の畠山重忠以下の畠山一族を討て、という源実朝を介して出された北条時政の命令を、鎌倉にいた御家人の面々が誰一人、それを止めようとした形跡が全く見え無い事です。

 それこそ、畠山一族を討った後、この一件が遠因となって御家人の信任を失って、最終的に北条時政は「無実の畠山一族」を討ったということで、失脚したことから考えれば、この時点で、讒言が真実かどうか、すぐに討伐するようなことをせずに、直に真実か否かを畠山重忠に問いただすべきだ、くらいのことをいう御家人がいてもおかしくないのではないでしょうか。


 実際に義時や時房は一旦は拒んだ、とされているのです。

「吾妻鏡」の記載が正しければ、という大前提が尽きますが、三浦義村や和田義盛、千葉常胤といった有力御家人の誰か一人がこの時点でそのような声を挙げれば、「畠山重忠の乱」の流れが大きく違った可能性は十二分にあった気が私はします。


 更に私にとって、どうにも不思議なのが、この件で北条政子が動いた形跡が皆無なことです。

 政子は畠山重忠の義兄弟なのです。

 弟の義時と手を組んで、父の時政を諫めても全くおかしくないですし、むしろ、そうするのが当然ではないでしょうか。

 ですが、「吾妻鏡」の記述を信じるならば、政子はその際にいなかったような感じで、その前後の行動が全く見えてきません。


「坂東武者の鑑」と謳われ、他の御家人の信望も篤かったとされる畠山重忠が、北条時政から理不尽な言いがかりをつけられた際に、他の御家人や政子といった面々が、何故にかばうような言動をしなかったのか。

 考えれば考える程、実は畠山重忠とその周囲、更には縁戚関係について、何とももどかしいというか、見据えようにも、よく見えない闇が広がっていて、「畠山重忠の乱」が起きた気がして、私はどうにもならないのです。

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― 新着の感想 ―
[一言]  ただ読むだけなら「三国志演義」級に楽しめる吾妻鏡(あの徳川家康さんも愛読者)しかし読めば読むほど現れる違和感のために闇が感じられるのも確かなんだよなー、ほんと歴史書ってその時代を担った勢力…
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