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ジェイド・ヴェルンの幸福2

連投します。


「ここが王城か…。やっぱりデカいな」


想像していたものよりずっと立派な王城に、柄にもなく感嘆してしまった。


俺たちは今、引率の教員に連れられ王城内の第一師団、通称『近衛騎士団』の詰所に向かっていた。心なしか、みんなソワソワしている。

それもそのはず、この実習の成果によっては、卒業後にそのまま()()()()()に所属できるかもしれないからだ。


この国の騎士団は第一師団から第四師団まである。

第一師団の仕事は王族警護、第二師団は王国警邏(けいら)、第三師団が国境守備で第四師団が暗部である。

第四師団は暗部であることはわかっているが、それ以上の情報は無い。謎の集団である。


この中で、王族を警護する第一師団の近衛騎士は花形だ。

また、王族警護がメインの仕事のため、必然的に勤務地も王都になる。王都を離れたくないヤツにとっては、転勤が無いのは願ったり叶ったりだろう。

ただ当たり前だが、その職に就くにはとてつもない倍率を勝ち抜かなければならない。

しかし実は抜け穴もあった。

それがこの実習だ。

ここで近衛騎士団の幹部の目に留まれば、『スカウト』という形で就職することが可能なのだ。継ぐ爵位の無い次男、三男や、騎士科に通っている平民が浮足立つのも頷ける。


俺は周囲を見回した。

今年の実習生は、俺を含めて10人。

教師たちの選考は妥当だと思う。

俺を除く9名は、騎士科の中でも成績優秀な2名の平民と4名の男爵・子爵の令息、伯爵令息が1名と、成績はそこそこだが爵位の高い公爵令息と侯爵令息が1名ずつ。

まぁ最後の2人が選ばれたのは疑問も残るが、『王城』という格式高い場所に向かうのに、礼儀作法が身についた者がいた方が良いだろうという学園の判断だったのかもしれない。

ただ、あの2人はなぁ…。

正直、性格に問題アリだと俺は思うんだが…。


そんな事を考えながら歩いていたため、俺は近衛の詰所ではない場所に連れて来られていることに気づかなかった。

今、俺たちは立派なマホガニーの扉の前にいる。

明らかに近衛騎士の詰所ではない。

引率の教員が、扉前の近衛騎士に俺たちを引き継いでいる。

近衛騎士は教員から俺たちに目を向けると、


「こちらの控えの間で暫く待つように」


と言って、部屋の中に案内した。

中は、俺たち10人が入っても窮屈な感じはしない程度の広さがあった。奥にはさらに精緻な細工が施されてる重厚感のある扉がある。一体、奥はどうなっているのだろう…。

このような場に慣れていない平民の2人は、緊張がピークに達しているようだ。

可哀想に…。

顔色が悪く、しきりに辺りをキョロキョロしている。

そんな様子を見兼ねて、近衛騎士が声をかける。


「そんなに緊張するな!呼ばれるまでは楽にしてて良い。これから君たちには、アナスタシア王女殿下に謁見してもらう」


にっこりと笑って爆弾発言をした近衛騎士を、穴があくほど見てしまった。


は?

王族と謁見するだなんて、聞いてませんけど!!

やばい!

メルビン(平民)とピーター(平民)が失神しそうだ!

横目でハラハラしながら彼らを気にかけていると、鷹揚な態度でそれに応える声が聞こえた。


「それは光栄ですね。王国の至宝と名高いアナスタシア殿下に拝謁できるなんて。謹んでお受け致します」


そう言って、胸に手を当てマーカス公爵令息が一礼する。

それに(なら)い、俺たちも慌てて同じ礼をとる。

こういった事に瞬時に対応出来るのは、流石だなと正直に思った。教員はこれを見越していたのかもしれない。


近衛騎士が頷き退室すると、部屋の中の緊張は一気に緩んだ。


「流石ジャスティン様ですね!王族との謁見の話にも動揺せず、立派な立ち回りでした!!」


すかさず、腰巾着のヘイス侯爵子息がすり寄る。


「まぁな。こういった場には慣れているんだ。それより、優秀なヴェルン侯爵子息が咄嗟の機転が効かないなんて…。君も緊張しているのかい?」


ニヤニヤしながらマーカス公爵子息がこちらを見てくる。

はぁ…、めんどくさい。適当にあしらっておくか…。


「そうだね。僕は田舎貴族だから王城なんて縁が無いんだ。ましてや王族に拝謁するなんて…、考えただけでも震えがきてしまうよ」


そう言って、苦笑を浮かべながら両肩をさする。その姿に満足したようで、マーカス公爵子息は饒舌になる。


「その様子だと、この謁見の意味も分からなそうだな」


マーカス公爵子息はそう言って鼻で笑った。

意味?

アナスタシア王女殿下に会う意味とは?


俺のその態度に、出来の悪い子に諭すようにヘイス侯爵子息が話しかけてくる。


「まだ分からないのかい?アナスタシア殿下の婚約者を見極める為だということが。まぁ、ジャスティン様で決まりだとは思うけどね」


そう言って、ヘイス侯爵子息は俺の肩を叩いた。


は?

アナスタシア殿下は5歳だぞ?

正気か?コイツら…。


✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩✩


読んでみて面白かったなぁと思われた方は、よろしければブクマ評価もお願いしたいです!!

大変、励みになります(。>﹏<。)

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