ゴブリンと初遭遇②
桐生芳樹、浜松湊、渡辺至恩は一匹のゴブリンの前に立っていた。
桐生 芳樹 きりゅう よしき
素行が悪く、髪も染め、ケンカなどもしょっちゅうするような典型的な不良と呼ばれる人種であり、目の前にいるゴブリンに対して、楽しそうな表情をしている。
浜松 湊 はままつ みなと
見た目的には不良なのだが、芳樹の腰巾着的な存在であり、芳樹がゴブリンの前に向かったので、仕方なく後ろから付いていった状態だ。
渡辺 至恩 わたなべ しおん
特に目立つ行動をするような者ではないが成績優秀、スポーツ万能、容姿もハーフということで彼方に負けず劣らずのイケメンである。ただクラスメートと交友を持つことはほとんどしない。
「さぁ~て、なんか知らねぇがとりあえずコイツをぶっ飛ばせばいいんだろ!」
「芳樹、大丈夫なのかよ?コイツどうみても普通の生物じゃなさそうだけど。」
「そうだな、だけど俺にケンカを売ってきたんだ、買わなきゃ失礼だろ。それと、お前らは手だすんじゃねえぞ!ケンカはタイマンでやるのがルールだからな。」
「……あぁわかった、手はださないでやる。」
湊は芳樹を心配するが、当の本人は目の前の得体知れない何かに対して、さっさと始めようぜという感じでウキウキしている。
至恩はそんな芳樹を見て、とりあえず好きにやらせるかと先ほど刀華から受けた指示を無視する形をとる。
「おいおい緑色のお前!さっさとかかって来いよ!来ないならこっちから行くぞ。」
芳樹は挑発するものの、かかって来ないゴブリンに対して自分から間合いを詰める。それを見て今まで動かなかったゴブリンは、両手で持った棍棒を振り上げ芳樹の顔目掛け振り下ろす。ただケンカ慣れしている芳樹からすれば、そんな単純な攻撃が当たるはずもなく、体を半身にして左に避け、そのまま左足を前にだし、ゴブリンの顔目掛けて全力のストレートを叩き込むと、ゴブリンはそのまま動かなくなった。
後方にてその様子を見ていた女子生徒の一人、藤原彩羽は自身の彼氏である芳樹の姿に「キャーかっこいい」と手を振る。
芳樹もその声を聞いて、彩羽の方に振り向き手を振るが、先ほどまでピクリとも動かなかったゴブリンが、ガバッと起きて芳樹の首すじ目掛けて、噛みつこうと飛びかかる。
それ見ていた生徒たちから「危ない!!」と声をかけられるが、芳樹が振り向いた時には、ゴブリンは至恩に顔を蹴られていた。
「手は出してない。」と無表情で告げる至恩。
「ああ……助かった……これは貸しにしといてくれ。」と芳樹は至恩に言葉をかける。
至恩は黙って軽く右手を上げ了承の意を示し、落ちていた棍棒を拾い上げ、先ほどから顔おさえて起き上がろうしないゴブリンに、棍棒を何度も振り下ろしその命を奪ったのだ。
藤原 彩羽 ふじわら いろは
見た目はギャル。過去にナンパ男に声をかけられ困っていた所を芳樹に助けてもらう。芳樹の彼女。
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