⑦レンタル 部屋の隅でそっと見守る人
"ピンポーン"
『初めまして。"レンタル 部屋の隅でそっと見守る人"です』
深く関わってこない人が好きだ
同じ空間にはいるけど、特に何もしない人が好きだ
ほどよい距離感で接してほしい
ひとりも好きではないから、ほどよく見守ってほしい
空気を乱さない程度に、安心を与えてほしい
でも、まわりの人ではそれはできない
そんなことをできる人は、たぶんいない
だから、レンタルして寂しさなどを減らしたい
頼めば、だいぶ気持ちは楽になるはずだから
『なにも言わず、いる感じでいいですか?』
「はい」
『特に何もしないで、いいんですね』
「それでお願いします」
『どこまで何もしないか、具体的に決めますか?』
「はい」
『スマホをいじっているとか、伸びをするとか、そのラインまででいいですか?』
「そうですね」
『はい。では、今から、もう話しかけませんので、ごゆっくりどうぞ』
それからは、ひとりでゲームをしたりした。
テレビを見て笑ったりもした。
お菓子をパクパク食べたりもした。
その間、たまにレンタルの人が、会釈をしてくれたり、ずっと見守ってくれた。
とてもとても、嬉しかった。
空間に"レンタル 部屋の隅でそっと見守る人"が馴染んでいて、心地よくて、だいぶ気持ちが落ち着いた気がした。