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③レンタル 笑ってるだけの人
"ピンポーン"
『初めまして。"レンタル 笑ってるだけの人"です』
少しでも笑顔になりたいから。
どういう笑いかは、よく分からないけど、頼んでしまった。
ひとりで、ただ思っているだけと、誰かに喋って笑ってもらう。
そこには、とてつもない差がある。
笑いがあるだけで、世界が変わる。
「昨日、マスクだと思って手に取ったのが、靴下で」
『アハハハハ』
『ウハハハハ』
『オハハハハ』
「食べようとしていた、ミカンが見っかんなくて、そういえばもう食べていたなっていうね」
『ガハハハハ』
『グハハハハ』
『ゴハハハハ』
「ゲームとか漫画にハマってしまって、一日何も食べないってこともあるんですよ」
『ハハッハハッハー』
(たぶんこれは困った笑いだろう)
「一週間前には彼女にフラれて、その後、車で帰ったら車庫で擦ってしまって」
『シーン』
こんなに気持ちよくなったのは、久し振りだ。
お金を出してでも、呼んだ価値はあった。
笑いは、過去の出来事の色をガラリと変えてくれる。
一度、シーンとはなったけど"レンタル 笑ってるだけの人"ってなんかいい。




