①レンタル 頑張っての人
人をレンタルすること、それは今や普通になった。
どんどん新たなレンタルサービスが生まれ、隙間を埋めてくれる。
レンタルは、これからどんどん進化していくことだろう。
つい、少しの興味から、レンタルをしてしまった。
もうすぐ、訪ねてくると思うのだが。
"ピンポーン"
『初めまして。"レンタル 頑張っての人"です』
少し落ち込んでいたから、頼んでしまった。
頑張って、と言うだけの人を。
「最近、仕事でミスしてしまって」
「その前にも、同じミスをしたばかりで」
「このままやっていけるか、すごく不安なんです」
『頑張って』
「ありがとうございます」
「料理は、あまり得意ではなくて」
「最近はデリバリーか、外食になってしまっていて」
「でも今日は、カレー作りを頑張ってみますね」
『頑張って』
「はい。頑張ります」
「もう、家ではずっとゲームばかりしてます」
「ここでこの敵を倒せば、完全制覇なんですよ」
「やっとここまで来ましたからね」
『頑張って』
「はい。勇気が湧いてきました」
頑張っては、文字にすると4文字しかない。
そしてこの人は、同じ言葉しか投げ掛けてくれない。
それでも、人の心を優しく包んでくれる。
人をレンタルするって、なんかいい。