決意を此処に
よろしくお願いします。
「行くのですか?」
翌朝、人々がやっと眠りにつけるかそろそろ起き出そうかというと言う時間帯に俺は荷物をまとめて教会からでたところでリリカに声をかけられた。
「……」
「現在のクーファ子爵は50年に1人の傑物といわれています。
この街の領主が彼に変わってから10年と経たずに、いち地方都市だったこの街はこの国有数の交易都市へと発展を遂げました。
しかし急激な発展に領兵はついていけませんでした…。
そんな時に代頭してきたのがあの男ヴァージルです。」
「あのドレッドヘヤーのえらそうな男か?」
「ええ、そうです。
あの男は治安維持に領兵が手をとられている間に西部地区に不穏分子を集めて一大勢力を築き上げました。
それにり気づいた子爵は慌てて西部地区に駐屯所を用意しましたがヴァージルに乗っとられ、望む望まぬにか変わらず女性も男性もヴァージルに無理矢理働かされています。
いま西部地区は領主であっても手が出せません。
子爵がどんなつもりであなたを送り込んできたのかは知りませんが、あなたがそんな危険を犯す必要があるんですか?
別に私と一緒に教会で子供たちの面倒を見ていても誰にもとがめられる謂れはないはずです!
ヴァージルはやり過ぎました。
かつての失敗から領兵の増強、再編が行われています。
それが完了すれば、クーファ子爵も次は本腰を入れて動きます。
どうしてあなたがそんな仕事を任されたのかわかりませんが、どう考えても時間稼ぎに使われたのではありませんか?
そうだとしても行くのですか!」
「ああ、そうだとしても俺は行く。
西部地区の守護なんていわれても正直なにをしたら良いのかわからなかったんだ。
前任者のマニュアルなんてゴミも同然だったし、クーファ子爵とは一言も会話なんて無くていきなりここに放り込まれた。
貴族なんてくそくらえって思ったが、悪の親玉を倒すって考えたらシンプルで良いじゃねえか。
それができないと思われていたとしたら、そんな思惑をぶっとばしたくなるぜ!!」
「ぐふぅっ」
いきなり捲し立て始めたリリカに驚かされたが、逆にやることが明確になった。
たった1日だったのに俺のことを案じてくれている彼女をうつむかせてしまっても、俺は行く。
ぐふぅっ、ぐふっ、ぐふふふふ、ぐひゃひゃひゃひゃひゃ
汚い笑い方をする異性が好きです!
皆がどこか取り繕って生きているのに、そんなへったくそな愛想笑いする人はいないだろうって思えるので、そういう人ならわかりやすくて仲良くできるかもって思うからです。