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アンリー・グリー ②

 「うぉりゃぁぁぁぁ」


 女性の声帯とは思えないほどの雄たけびを上げなら、アンリーは勢いよく走りだしていった。

 

 それと同時に、彼女の魔法で作り出されていたランプ代わりの炎も、蛇たちの巣へと飛び込んでいった。


 炎が侵入したことによって、地形情報しか分からなかった巣の全貌が明らかになった。


 巣自体は大したことはなかった。今まで歩いてきた部分よりは広く、天井も高い。アンリーがここで暴れまわっても、ハンマーを壁や天井につっかえてしまうことはないだろう。

 

 問題は、中央奥に蠢いているダーペントの数だ。想像よりも数が多い。バハスはあくまで地形を把握するものであり、重量や動きで生物の数を把握している。

 そのため、今回のように読み間違えてしまうことがある。


 数百匹はいるだろうか。卵があるであろう場所に固まって、体をうねうねと動かしていた。既にこちらに気付いていたようで、舌ベロを出しながら威嚇していた。

 表面を見ただけなのでまだ数が多い可能性は十分にある。卵とそれを包んでいるという目当ての抜け殻は見えない。

 しかし、カインたちの情報が正しければ、彼らがそれらを守っていることは明白だった。


 「アンリー!」


 作戦通り飛び出したとはいえ、この数だ。カインは慌ててアンリーの元へと走っていった。


 「ぶん回す!」


 言葉通りアンリーはハンマーを長く持ち、広範囲に攻撃できるように構えた。

 さらに、アンリーの全身が僅かに輝きだした。少しだけ筋肉も発達していった。


 これは彼女が、身体能力をあげる魔法を使ったということだ。

 使用したのは二種類。

 筋力を強化する「フエルブ」と、ハンマーを振るための体力を増やす「ゲトゥルブ」だ。


 魔法を使って強化したアンリー目掛けて、固まっていた蛇のうちの数十匹が、一直線に飛び込んできた。

 口を目一杯開け、鋭利な牙を見せつけている。威力はさることながら、毒が分泌されているのか紫色の液体が流れている。

 ひと噛みされただけで、激痛が走ることは間違いない。


 襲い掛かるダーペントをものともせず、遠心力を使ってハンマーをその場で振り回す。

 とにかく振り回していた。

 目が回りそうで、見ているこっちが気持ち悪くなりそうだ。


 筋力がさらに発達したおかげで、振り回す速度は尋常ではなかった。細長いダーペントたちが入るスキがないほど、猛スピードで回転している。

 

 それどころか、飛び掛かってきた数十匹をバッタバッタと倒していき、蛇のへこんだ体があちらこちらに飛び散っていった。


 これが彼女の戦闘スタイルだ。

 スタイルと言っても、見ての通り暴れまくるだけだが。


 【アンリー・グリー】


 肩書き     クエイカー

 

 魔法         熟練度


 フエルブ(筋肉強化)  7

 ゲトゥルブ(体力増加) 7

 ファプス(たいまつ)  3

 

 武器

 

 ハンマー        8


 その他ets……


 本人じゃないから細かいところは分からないが、まあだいたいあってるだろ。


 「はぁはぁ」


 飛び掛かってきたダーペントを一掃すると、さすがにアンリーの動きが止まった。

 体力を増加させたとはいえ、何回転もすれば疲れるのは当たり前だ。

 逆に、少ししか息を荒立てていないのが恐ろしいぐらいだった。


 アンリーの体とハンマーは、ダーペントたちの黒い血で汚れていた。

 その血に逆上したのか、あるいは動きが止まった彼女を倒すなら今と考えたのか、黒蛇たちの第二陣がアンリーを強襲する。


 だけど、俺はまだ動かない。

 心配ないからだ。


 あいつを守るのは俺の役目ではない。


 タイミングよく盾を持ったカインが、アンリーの前に立って攻撃を妨害した。

 カインの持っている縦長の大盾に、強襲してきたダーペントが勢いを止めることなくぶつかっていく。

 勢いよく飛び込んできた分、盾にぶつかった衝撃は強い。これだけで、数十匹に大ダメージを与えることができただろう。


 ぶつかった蛇たちは盾をなぞるように下に落ちていく。

 けれど、これで終わりではない。第三陣が、息をつく間もなくやってくる。

 

 「はぁぁぁ」


 カインは再び盾で防御しながら応戦する。

 蛇は真正面だけではなく、多方面から襲ってくるようになった。

 それに対しては、もう一方の手で掴んでいる斧で対応していた。


 彼もまた、筋肉強化の魔法を使用しているため、僅かに光り輝いていた。輝き方を見るからに、下半身を重点的に強化して、重心を安定させているようだ。

 おそらく彼はさらに、重量強化のウィクティブを使用しているはずだ。


 身体能力に関する魔法は、自分の体に対して使う場合、イメージしやすいのか声に出して唱えなくても上手く発動することが多い。

 そのため、対人の場合は、相手が何を使っているかを予想しながら戦うことも必要になってくる。


 「アンリーさん、大丈夫ですか」

 「うん、大丈夫!」


 息を整えたアンリーは、俺には見せたことのない笑みで答えていた。

 いつもこうやって、カインは彼女のことを守り続けてきたんだろう。

 カインはそれに適している男だ。


 【カイン・ドネス】


 肩書き  エスクド・アッサー


 魔法         熟練度  

 

 フエルブ(主に足腰)  7

 ゲトゥルブ(重量増加) 8

 ファプス(たいまつ)  4


 武器

 

 片手斧         7

 大盾          6


 二人は数年も一緒に旅をしているらしい。

 本来なら、俺がいなくても息の合ったコンビネーションで仕事をこなしているはずだ。


 けど、今回は数が多すぎる。

 ダーペントの数がゼロになるのが先か、二人の体力が尽きるのか先か。


 俺が思った以上に、ダーペントの抜け殻と言うのは、高難易度の素材のようだ。


 このままいけば、両者削りあいの激しい攻防になることに違いない。


 しかし、俺の魔法を使えば、一瞬で終わらせることができる。

 そのためには……


 「よし二人とも、そろそろ引き上げてくれ!」


 俺は巣の入り口である、細長いトンネル部分から指示を出した。

 

 俺も前に出て戦うべきなのだが、今回の場合は地形の条件がいい。

 息を殺して俺に注意を引かせないほうが、効率が良い。


 「りょうかいです!」

 「おい、私はまだいけるぞ」

 

 指示を理解して後退しようとするカイン。それに対し、指示を理解しているのに戦い続けようとするアンリー。

 お前が強いことは俺もよく知ってる。

 だけど、俺は召喚屋として契約者を守らなければいけない。


 「わかってる。けど、お前が傷つけば、悲しむ奴はいるんだよ」

 「っち。わかったよ」


 軽く舌打ちをすると、カインと一緒に俺のところまで引き下がろうとしてくれた。

 しかし、それを仲間を殺された敵がみすみす見逃すわけはない。


 逃げ出す二人に向かって、さらに蛇たちは数を増やして噛みつこうとする。

 カインが盾を構えながら、徐々に後退しているとはいえ、逃げる彼らは隙だらけだ。

 

 適度に武器を回し逃げ道を確保しながら、二人は巣の入り口まで戻ってきていた。

 

 まだ蛇たちの怒りの籠った追い打ちは止まらない。

 しかしそのおかげで、ようやくアマゴを守っている本丸が手薄になった。

 やっと、卵とそれを包んでいる抜け殻らしき黒く光るものが目視できた。


 「二人とも、こっちに飛び込んでくれ!」


 俺が魔法を使うには、蛇たちを巣から完全にだし、俺がいる狭いトンネル部分へとおびき出す必要がある。

 

 「はい!」


 カインはの盾に百匹近くのダーペントたちが襲い掛かっている。

 俺の魔法を使うためには、彼らと蛇たちにある程度距離がないとダメだ。

 そうじゃなければ、巻き込んでしまう危険性がある。

 

 それを察したのかは定かではないが、カインはその場でシールドバッシュを行った。

 筋肉強化のフエルブを腕に使用し、力いっぱい盾を前に押し出した。


 すると、大盾に引き付けられていた分、大量の蛇たちが巣の方へと押し出された。


 「逃げよう、アンリーさん」

 「うん、おっけー」

 

 そのすきに二人は戦うことをやめ、こちらへ猛ダッシュしてきた。

 よし、これで条件は整った。


 俺ら三人は、巣への道のりである細道で待ち構えている。

 そして、卵を守っていたほとんどの蛇たちがこちらに怒りを向けて、巣の出入り口から威嚇してきている。


 仲間を大量に殺していったこいつらを許すな。

 そういわんばかりの威圧感を出しながら、一斉に俺たちへと飛び掛かってくる。


 「トレイン! 壁よ動け」


 まっていた、この時を。

 蛇たちがトンネル部分へと侵入してきたこのタイミングで、俺は地形を操るトレインの魔法を使用した。


 片手を壁につけ、俺はそこに魔力を注ぎ込んだ。

 すると魔力の光は、俺のいる地点から空中を虹を描くように飛びあがっている蛇たちの傍にある壁へと、すぐさま移動していった。


 そして、ガタガタと音を立てながら壁が隣の壁に向かって動き出した。

 その間には、攻撃してきているダーペントたちがいる。

 つまり、動き出した壁が隣の壁に到達するころには、蛇たちはぺっしゃんこになっていた。


 数秒も経っていない。一瞬の出来事だ。熟練度を上げたトレインは、地形を操るスピードが上昇するからだ。

 正確に言うと壁が動き出したわけではない。体積が増えたのだ。


 ナオン救出のときに、俺が木の枝を成長させたときのように、壁を真横に成長させたといえばいいのだろうか。

 しかし、アンリーとカインには、あとダーペントたちには、壁が動いてみえていることだろう。

 

 「す、すごい」


 カインはあっけにとらえれていた。

 今まで必死に数を削ってくれたのに、俺が一瞬でことを終わらせれば、そうなるのも仕方がないか。


 「っち。いいとこ持ってかれた~」


 アンリーの方は疲れがたまっているのか、そういいながらも怒っている様子はなかった。

 体力の限界が近かったのかもな。


 「いや、敵を上手く引き付けてくれたおかげだ。さすがだよ」


 俺が勝利を決めたが、あまり実感はない。なんせ、俺が使用したのは今のトレイン一回だからな。

 戦ったのは二人だ。


 今回のように、俺の仕事はナオンのような子を守るだけではない。

 契約者が先導してサポートに徹っすることもあるし、そもそも戦闘が関係ないときもあるのだ。


 戦いの余韻に浸っていると、俺の魔法の効果が切れだした。

 壁は徐々に元に戻っていった。


 両壁には大量の血痕がこべりついていた。

 ほとんどの死体は壁にめり込んでいる。

 それ以外の数匹の死体が、ひらひらと地面に落ちていった。


 もともとも壁が黒かったおかげか、ダーペントたちの黒い血が飛び散っていても、それほど汚らわしさはなかった。

 

 「なぁ、こいつら殺してよかったのか? 抜け殻が売れるなら、こいつらの皮だって使い物になるんだろ?」

 

 戦いが終わったふと感じたことだ。効率が良いためにこの作戦を実行したが、本当に正解だったのかと。


 「えぇ、まあ折衝しないのが一番ですけど……価値でいえば皮にはあまりないんですよね。生きている状態の皮はまだ成長しきっていない状態で、抜け殻はいわば完成形なんですよね。抜け殻以外は、もろくすぐに切れてしまうんです」


 言われても見れば。服飾に使うと言っていた割には、蛇たちの硬度は弱かった。ハンマー攻撃ですぐにへこんでいたし、盾にぶつかっただけで本体にダメージが入っていた。俺の壁攻撃は硬さ同行の話ではないと思うが。


 「なるほどね。完成したら皮のままにさせておけば、身を守るだろうに」

 

 抜け殻の硬度がどれほどのものかはわからないが、全員が完成状態であれば、もっとダーペントたちは手ごわかっただろう。


 「それでも……」


 アンリーが神妙な面持ちで話し始めた。

 

 「それでも、こいつらは、卵を育てたかったんだ。子供が無事に育ってくれるなら、自分たちが弱くなってもよかったんだ。きっと」


 こいつにカインとの子供はいない。けど、その切なげ気な表情を見ていると、母親のような温かさをアンリーから感じた。

 

 俺たちは少し息をと唱えると、目的である卵へと近づいた。

 

 ファスプでの魔法で生成した炎が、数十個の卵を照らした。

 大きさは鶏の卵ほど、もう少し小さいかもしれない。

 その卵に、漆黒の粒のような鱗が奇麗に並んでいる抜け殻を巻きつけていた。


 手のない蛇たちがどうやって行ったのか思うほど、抜け殻は丁寧に卵を覆っていた。

 

 「じゃあ、抜け殻を外しましょうか」


 手分けして卵と抜け殻を分離することにした。

 案外、つるんと卵から引きはがせたので、それほど時間はかからなかった。

 卵自体は数十個だが、一つに対し何重にも抜け殻を巻いていたので、かなりの収穫量だった。


 「抜け殻を吸い込んで」


 そう言ったのはカインだ。カインの腰に巻き付いた小さな魔袋に、剥がした抜け殻をすべて吸い込ませた。

 カインの持っているのは簡易版だ。素材を入れるためだけのものだろう。


 抜け殻が消えるとそこには卵だけが残っている。

 白よりも光沢がある銀に近い色合いをしており、艶があってなかなか綺麗だった。


 俺はその卵を鑑賞的な意味でじっと見つめていたが、アンリーは違った気持ちを抱きながら眺めているようだった。


 「なぁ、カイン」

 「アンリーさん、どうしたの?」

 「こいつらって、どうなるの?」

 「卵の事ですか? うーん、生まれるのは難しいのでは。生まれた後は問題ないと思いますけど」


 カインの言葉に少し気になったことがあったので、会話に口を挟むことにした。


 「育てる親がいないんだろ? 生まれた後こそ厳しくないか?」

 

 その親は俺の魔法でほとんどあの世に送ってしまった。


 「巣の周り、みてもらえますか?」


 カインの言われた通り、俺は周辺を見回した。

 するとあることに気がついた。

 あちらちちらに、小さな穴があいているのだ。

 丁度ダーペントが一匹はいれるかぐらいの穴だ。


 「これは、餌を備蓄しているいわば倉庫みたいなんです。だから、生まれさえすれば、成熟しきるまでの餌には困らないと思うんですよね」


 なるほど。だから、さっきカインはああ言ったのか。

 カインはダーペントのことを充分に調べ上げているようだった。


 「でも、生まれるのはきついんだ」

 「残だけどアンリーさん、卵が成長しきるにはここは寒すぎるんです」


 言われてみれば巣の周辺はやけに寒かった。もしかすると、かなりここは地中に埋まっており、気温が低いのかもしれない。

 ダーペントたちが必死で卵を温めるわけだ。


 「そっか。抜け殻があれば、育つ?」

 「ええ。まぁ。銀色は生まれる前段階です。これが金色に輝きだせば、無事に生まれると言われていますから」

 「おいおい、もしかして返すとかいうんじゃないよな?」


 今度はアンリーの言動に引っ掛かったので、再び口を出してしまった。

 

 「いや、そういうわけじゃないんだけど……」

 「お前らが選んだことだろ? 親を殺したことに罪悪感を抱いてるのか?」

 「それは……」


 アンリーがそう感じるも分からなくはないが、そんなんじゃこの先やっていないだろ。

 そう感じた俺は、少し説教臭いことを言ってしまった。


 「わかってると思うけど、弱肉強食でこの世は成り立ってる。今回は食べることが目的じゃないとはいえ、その抜け殻で稼いだ金で生活してくんだ。その一部を俺が貰って、俺も生活できるようになる。そんなこと、いちいち考えてたら、この仕事続けられなくなるぞ?」

 

 アンリーにこんなこというのは始めただった。昔はもっと制に無頓着だったというか。カインと一緒になったことで丸くなったとは思っていたけど、こういう悪い方向に行ってしまうのはよくない。


 「わかってる」

 「なら……」

 「わかってるけど、忘れてい良いわけじゃないんだ」

 「え?」

 「私たちが、誰かの死で生きることができてるってことを、忘れていいわけじゃないんだ」

 

 その言葉が、妙に俺の胸に突き刺さった。

 誰かの死で生きている。俺がその言葉を、痛いほどよく理解しているからだと思う。


 「コトオさん。彼女は、この仕事で罪悪感を感じることが多いみたいです。けど、それを受け止めながら生きてるんです。自分が行ったことに責任をもって、亡くなっていったものの分まで、彼女は生きようと立ち向かってるんです」


 カインに言われてはっとさせられた。弱肉強食、それを分かっていなかったのは俺の方だ。

 考えるのがつらくなった俺は、いつしか罪悪感を捨てたんだ。

 けど理解しているのなら、アンリーのようにそのことから背を向けてはいけないんだ。


 くそっ。俺は一番、そのことをかみしめて生きていかなければいけないのに。

 俺はこういう自分が、心底嫌いだった。


 

 「すまん、アンリー。大口叩いた」

 「いいよ。私も心が負けそうになることがるのは事実だし」


 アンリーは見た目は屈強だし、口調も荒いし性格も勝気だが、どこか弱い部分があるというか。

 カインとは違った優しが、彼女にも宿っているんだ。

 なんでカインはアンリーと交際しているのかと疑問に感じることがあるが、たぶんそういうことなんだろう。


 

 はぁ。このままだと、あの時に逆戻りだ。

 あの忘れてはいけない、あの時に。


 「カイン、もう少しで孵化するんだよな?」

 「はい。専門化ではないので、断言はできませんけど」

 「わかった」


 俺はしゃがみ込んで、密集した卵へと体を近づけた。

 そして、両方の手のひらをその近くの地面へつけた。


 「トレイン、卵を囲め」

 「ムダンカ、大地を温めろ」


 俺は二種類の魔法を使用した。

 トレインで卵周辺の地面の量を増やして上昇させた。そして、卵を守るように円型に囲んだ。


 そして二つ目のムダンカは、地形の形を変化させるのではなく、性質を変えることができる。固いものを柔らかく、冷たいものを温かくすることができる。

 それほど熟練度は高くないが、この規模なら問題ない。

 

 「なにしたんだ?」

 「見ての通り、巣を温めてる」

 「もしかして、持続する魔法ですか?」


 カインが指摘した通り、今回はすぐに効果が切れるのではなく、俺がここから立ち去った後でも効果が消えないようにした。


 「ああ。魔力は食うけど、大丈夫だ。ほとんど魔法を使わなかったからな」

 

 今日使用した魔法は今のを入れて、トレイン3回にバハス2回。そしてムダンカ1回。

 そのうち二つを持続させているといっても、まだまだ魔力の容量は残ってる。はずだ。


 「せめて、新しい命は守らないとな」


 そう、俺にできるのはここまで。

 俺は、残されたものを守らなきゃいけないんだ。


 「コトオさん、優しいですね」

 「見直した」


 お前らの方が、ずっと優しいよ。悔しいくらいに

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